換気風量と循環風量について

空気が速度を持って移動する時の、空気の移動量を風量という。換気量(換気風量)の他にも風量の名称は様々あるので確認する。

風量の呼び方

給気と排気

給気風量…室内に空気を取り込む風量のこと。
排気風量…外部に空気を排出する風量のこと。

換気風量…室内空気の入れ替わりの量のこと。

SA,OA,EA,RA ダクト系統関連

給気(SA)…室内に取り込む空気、とりわけ空調した空気のこと。
この空気の通り道をSAダクトという。

外気(OA)…外部から取り込む新鮮空気のこと。
この空気の通り道をOAダクトという。

排気(EA)…室内から外部に排出する空気のこと。
この空気の通り道をEAダクトという。

還気(RA)…再循環するために室内から空調機に取り込まれる空気のこと。
この空気の通り道をRAダクトという。

送風量と循環風量 空調機関連

循環風量…空調機などを介して室内を循環する風量。空調機などで空気の温湿度を調整したり、汚染物質濃度を下げたりしてから給気される。

送風量…空調機や送風機(ファン)などが送り出す風量。

全風量…空調機などが送り出す総風量。外気と還気を空調機内で合わせて送り出す場合に、外気量や還気量と区別するために使われる。

参考

参考図①外気を取り入れる空調機による場合

外気(外部空気)がOAダクトを通り空調機に向かう。内気(室内空気)の一部が還気となりRAダクトを通り空調機に向かう。
外気と還気は空調機前で混合され、空調機で処理された空気はSAダクトを通り給気される。内気の一部は排気される。

空調機の換気風量と循環風量
参考記事

参考図②空調機により内気を循環し、外気を送風機により取り入れる場合

内気(室内空気)の一部が還気となりRAダクトを通り空調機に向かい、空調機で処理された空気はSAダクトを通り給気される。
送風機により取り込んだ外気(外部空気)がOAダクトを通り室内に給気される。内気の一部は排気される。
※外気を直接取り込むことは熱負荷が高いため好ましくない。

送風機の換気風量と循環風量
参考記事

参考図③空調機により内気を循環し、外気を全熱交換器により取り入れる場合

内気(室内空気)の一部が還気となりRAダクトを通り空調機に向かい、空調機で処理された空気はSAダクトを通り給気される。
全熱交換器により取り込んだ外気(外部空気)がOAダクトを通り全熱交換器に向かい、全熱交換器で処理された空気はSAダクトを通り給気される。内気の一部は排気されるが、給気と熱交換するために全熱交換器を通ってから排気される。

全熱交換器の換気風量と循環風量
参考記事

循環空気の必要性

過大な量の外気を取り込むことは、空調負荷を増やしてしまうため避けるべきである。
空気をフィルターでろ過することで汚染物質濃度を下げる方法を用いることが、新鮮空気により汚染物質を希釈する方法より効果的な場合は、内気を循環させて汚染物質濃度を下げることがある。

例えば、喫煙室の浮遊粉じんはフィルターにより吸着でき、新鮮空気を入れて汚染物質を希釈するより少ない循環量で確実に捕集出来る。
よって、喫煙室の換気風量は二酸化炭素濃度を低くするための必要量を入れて、換気で取り切れない汚染物質濃度を下げるために空気清浄機などにある捕集効率の高いフィルターによって空気をろ過する。

参考記事

例えば、クリーンルームでは汚染物質濃度を外気より低くしなくてはならず、外気は汚染物質濃度を下げる用途は果たさない。浮遊粉じん等は捕集効率の高いフィルターにより吸着する。
よって、クリーンルームの換気風量は室内を陽圧を保ち二酸化炭素濃度を低くするための必要量を入れて、清浄度を保つため必要な循環回数に対し外気量では不足する風量分を還気より取入れ、その全風量をHEPAフィルターなどに通して空気を循環させる。

参考記事

参考予定>>クリーンルームの換気計算