チャンバーボックスの使い方とサイズの求め方

チャンバーボックスとは

チャンバーボックスとは、空気の混合や分岐などで気流が乱れる場所に設置することで空気の乱れを少なくし、ダクトや吹出口に安定した空気を送る為の箱状のダクト装置のこと。ボックス内には、空気が乱れによる騒音の吸収のためにグラスウールを内貼りしてある。
空調機に取り付けるチャンバーボックスはプレナム室(プレナムボックス)ともいう。

※グラスウール内貼りすることで消音効果と保温断熱効果が得られる。外貼りでは、消音効果は得られないが保温断熱効果は得られる。
※消音用に特化したものにはチャンバーボックスだけでなく、消音エルボや消音器(サイレンサー)などもある。
※通常の亜鉛鉄板製のボックスのほか、本体グラスウールで製作し、コーナー部分のみ亜鉛鉄板とした軽量のものがあり、制気口ボックスとして広く使われている。

チャンバーボックスの設置箇所

チャンバーボックスは空気の乱れを低減するために設置するので、制気口の前につけることが多い。一部の制気口には制気口にチャンバーボックスのついたBOX付制気口というものもある。
その他に床置き直吹形の空調機の吹出口や、外気と還気の合流部分や、フレキシブルダクトの分岐部分などにも用いられる。

参考記事

チャンバーボックスのサイズ選定

制気口のシーリングディフューザーのチャンバーボックスについては、国土交通省官庁営繕「公共建築工事標準図(機械設備工事編)」より

ネック径が200φ以下(~C2-20)のものは、W400×D400×H250
ネック径が200φ超え(C2-25~)のものは、W500×D500×H300

と例が示されているが、それ以外の場合は設計者が決定する必要がある。

目安として
制気口ボックスであれば、接続口径+150mm(グラスウール内貼り25mm+ゆとり50mm×2両端)
空調機ボックスであれば、接続口径+200mm(グラスウール内貼り25mm+ゆとり75mm×2両端)

最小のボックスサイズは接続口径+50mm(グラスウール内貼り25mm ×2両端)となる。
なお、制気口ボックスの場合は器具によっては最小接続口径にゆとりが必要になるのでチャンバーボックスのカタログ等の確認必要。
例えば、シーリングディフューザーであれば器具接続側ダクトが回転式になっており、ダクトがチャンバーボックス内に折り入れられているので(グラスウール内貼り25mm+ゆとり35mm)が必要になってくる。

参考記事

チャンバーボックスのネック長さ

空調機や制気口の手前にチャンバーボックスを設ける場合、器具を接続するためチャンバーにダクトを取り付けるネック部分が必要になる。
空調機のチャンバーボックスの必要ネック長さは、施工を考えて100mm以上必要になる。
制気口の種類により、チャンバーボックスの必要ネック長さが決まってくるので図にまとめた。

レジスタ

レジスタのチャンバーボックスのネック長さ

※レジスタ形は、グラスウール内貼り無しであればチャンバー寸法と制気口の接続口径を同じにできるので、ネックなしとすることがある。

ライン

ラインのチャンバーボックスのネック長さ

ノズル

ノズルのチャンバーボックスのネック長さ

パンカールーバー

パンカールーバーのチャンバーボックスのネック長さ

シーリングディフューザー

シーリングディフューザーのチャンバーボックスのネック長さ

建築チャンバー

建物内の空間をチャンバーボックスに見立てる建築チャンバー方式がある。

天井チャンバー方式

ダクトを天井内開放とし天井内をチャンバーと見立て天井に吹出口をつける方式。

メリットは天井内ダクト工事が省略されるので、納まりの問題がないのとダクトのイニシャルコストが下がること。風量が大きく天井内が狭い場合に用いられる。
デメリットは天井内の空気を吹き出してしまうため、天井内の熱や湿気、ホコリなどを吹き出してしまうことや天井内が密閉でないことによる空気の漏れがあることなどがあげられる。

床下チャンバー方式

ダクトを二重床内開放とし二重床内をチャンバーと見立て床吹出口をつける方式。

天井チャンバー方式で上げたメリットとデメリットの他、特徴は天井吹出に比べ居住域付近で空調できることで、ホールや映画館など高天井の場所やパーソナル空調(個人に向けた空調)したい場合などに用いられる。
※一般的に床吹出口と呼ばれるものは床下チャンバー方式用のものを指すので床の吹出口にダクトを施工する場合は注意。