ダクト径の決め方

ダクト径の求めるための条件

ダクト径は、摩擦損失(圧力損失)と風速が過大にならないように決定する。
これらのダクト条件は、ファンの持つ静圧やダクトの振動等を考慮し設計者が決定する。
一般に圧力損失を1.0Pa/m以下、風速を10m/s以下とすることが多い。

圧力損失と風速の条件を決定したら、それをもとにダクト径を求める。
圧力損失と風速の計算式から求めた、摩擦抵抗線図ダクトメジャーを利用してダクト径を求める。

参考記事

※摩擦抵抗線図やダクトメジャーは、通常の温湿度条件で一般的なダクト内粗さの時の圧力損失と風速を計算式により求めて表にしている。
この条件と大きく異なるダクト場合(内面粗さが大きいコンクリートダクトや高温となる熱排気など)は、空気温度による補正と内面粗さによる補正が必要になる。

圧力損失と風速の検討

摩擦損失が過大になると、ファンの必要機外静圧が大きくなる。
風速が早くなると、振動大きくなりやダクト内の劣化も早くなる。

これらを考慮しダクト条件を決定する。

摩擦抵抗線図によるダクト径の求め方

ダクト材ごとの摩擦抵抗線図からダクト径を決定する。
今回は設備手帳にある亜鉛鉄板ダクトの摩擦抵抗線図を用いる。

※この摩擦抵抗線図のダクト条件は
温度20℃、湿度50%、気圧101.325kPa、内面粗さ0.18mmであるので、条件が大きく異なる場合は注意する。

摩擦抵抗線図
参考書籍
例題
 
問題

風量900m3/hのダクト径を求める。圧力損失を1.0Pa/m以下、風速を10m/s以下とする。

解答

摩擦抵抗線図より圧力損失を1.0Pa/m以下、風速を10m/s以下の範囲で
風量900m3/hとする場合の丸ダクト径は27.5cmあれば足りる。よってダクト径は275φとした。

矩形ダクトの換算図より、27.5cm線より下の範囲で矩形ダクト径を求めると、200×350や150×450にできるとわかる。
(矩形ダクトの寸法は基本的には50mm刻みなので、180→200、140→150とした。)

ダクト径の摩擦抵抗線図

ダクト径の求め方(ダクトメジャー)

ダクトメジャーとはエアコンスター(株)の特許製品で、現場でも持ち歩けて便利なので設備会社の新入社員にはよく配られる。
ダクト径による動圧と空気温度による補正係数も載っている。
裏面はウォータパイプメジャーで、給水配管の配管径を求めることができる。

※ダクトメジャーのダクト条件は
温度20℃、湿度50%、気圧101.325kPa、内面粗さ0.15mmであるので、条件が大きく異なる場合は注意する。

ダクトメジャー
例題
 
問題

風量900m3/hのダクト径を求める。圧力損失を1.0Pa/m以下、風速を10m/s以下とする。

解答

まず圧力損失1.0Pa/m以下の範囲を確認するため、赤いメモリの900m3/hと1.0Pa/mを重ねる。
この時の風速は青いメモリよりわかる。風速が10m/sより大きければ、風速10m/s以下の範囲を確認するため、青いメモリの900m3/hと10m/sを重ねる。今回は風速4.5m/sなので特に青メモリには合わせない。

この時の中央部分▼のメモリが丸ダクト径を表しており、数値は26.5cm。よって丸ダクト径は275φとした。
中央部分の表は矩形ダクト径を表しており、数値は赤線より矩形ダクトでは250×250(アスペクト比1)や200×350(アスペクト比2)にできるとわかる。

ダクト径のダクトメジャー

ダクト径の計算式(参考)

圧力損失の計算式

圧力損失[Pa/m]=摩擦係数×動圧[Pa]/丸ダクト直径[m]
摩擦係数=0.0055×{1+(20000×絶対粗度/直径+106/レイノルズ数)1/3}
動圧=1/2×速度[m/s]2×空気の密度[kg/m3]
レイノルズ数=風速[m/s]×直径[m]/動粘性係数
動粘性係数=粘性係数/空気の密度[kg/m3]

※摩擦係数の式はコールブックの式の近似式で乱流の場合(Re≧4000)のもの、
層流の場合(Re<4000)、
摩擦係数=64/Re(Re:レイノルズ数)

風速の計算式

風速[m/s]=風量[m3/h]/断面積[m2]より
丸ダクトの場合は、
風速[m/s]=風量×4/(π×直径[m]2×3600[s/h])

長方形ダクトを丸ダクトに換算する式は、
相当直径[m]=1.3{(長辺[m]×短辺[m])5/(長辺[m]+短辺[m])2}1/8

ダクト径の計算式は茶本より抜粋

参考書籍

■簡易計算シートあり