配管材の種類(まとめ)

配管材の種類や接続方法によって価格や施工性が異なってくる。配管材はさまざまな種類があり、配管の流体や使用箇所によって使い分けることになる。
以下に設備手帳に記載のある配管材について表でまとめた。

参考書籍

配管材料一覧表

種別 名称 通称 規格番号 使用箇所※1 一般的な接続方法
鋼管類 配管用炭素鋼鋼管 黒管 SGP黒 JIS G 3452 ねじ、溶接、ハウジング、フランジ
白管 SGP白
圧力配管用炭素鋼鋼管 黒管 STPG黒 JIS G 3454 ねじ、溶接、ハウジング、フランジ
白管 STPG白
水配管用亜鉛めっき鋼管 SGPW JIS G 3442 ねじ、溶接、ハウジング、フランジ
配管用アーク溶接炭素鋼鋼管 STPY400 上記の3規格 溶接
耐溝状腐食電縫鋼管 SGP-MN、STPG-MN
水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管 VA管 SGP-VA JWWA K 116 ねじ、フランジ(規格番号は別途)
VB管 SGP-VB
VD管 SGP-VD
水道用耐熱性硬質塩化ビニルライニング鋼管 SGP-HVA JWWA K 140 ねじ、フランジ(規格番号は別途)
水道用ポリエチレン粉体ライニング鋼管 PA管 SGP-PA JWWA K 132 ねじ、フランジ(規格番号は別途)
PB管 SGP-PB
PD管 SGP-PD
ナイロンコーティング鋼管 NP WSP067 フランジ、ハウジング
排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管 D-VA WSP 042 MD
排水用ノンタールエポキシ塗装鋼管 SGP-NTA WSP032 MD、ドレネジ
消火用硬質塩化ビニル外面被覆鋼管 SGP-VS、STPG-VS WSP 041 ねじ
ポリエチレン被覆鋼管 一層管 P1H JIS G 3469 ねじ、M種
二層管 P2S
ステンレス鋼管類 ステンレス鋼サニタリー管 SUS-TBS JIS G 3447 ヘルール
一般配管用ステンレス鋼管 SUS-TPD JIS G 3448 拡管プレス、ハウジング、フランジ
配管用ステンレス鋼管 SUS-TP JIS G 3459 フランジ、ねじ、溶接
配管用溶接大径ステンレス鋼鋼管 SUS-TPY JIS G 3468 溶接
銅管 配管用銅管 銅管 CUP JIS H 3300 はんだろう、フレア、プレス、メカニカル
被覆銅管 被覆銅管 メーカー規格
排水通気用鉛管 鉛管 SHASE-S203 はんだ、メカニカル
鋳鉄 鋳鉄管 鋳鉄管   MD
ダクタイル鋳鉄管 DPF CIP JIS G 5526 ゴム輪接続(ロックリング)
コンクリート プレキャスト鉄筋コンクリート製品 ヒューム管 JIS K 5372 モルタル接合(接着)、ゴム輪接続
水路用遠心力鉄筋コンクリート管 HP
硬質ポリ塩化ビニル管類 水道用硬質ポリ塩化ビニル管 VPW JIS K 6742 ゴム輪接続
下水道用硬質ポリ塩化ビニル管 VU JIS K 6741 ゴム輪接続
硬質ポリ塩化ビニル管 一般管 VP JIS K 6741
あるいは
JIS K 6742
※2 差込、フランジ、冷間熱間
薄肉管 VU ※2
耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管 HIVP JIS K 6742 ※2 差込、フランジ、冷間熱間
耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管 HTVP JIS K 6776 ※2 差込、フランジ、冷間熱間
リサイクル硬質ポリ塩化ビニル発泡三層管 RF-VP JIS K 9798 ※2 差込
空調用ドレン管 メーカー規格 差込
排水通気用耐火二層管 FDP 認定防火区画 差込MD
ポリエチレン ポリエチレン管(各種) ポリエチレン管 (各種) M種E種(電気融着)
水道用ポリエチレン管 ポリエチレン管 JWWA K144
水道用ポリエチレン二層管 PP JIS K 6762
ポリブテン ポリブテン管 ポリブテン管 JIS K 6778 M種E種(電気融着)
水道用ポリブテン管 JIS K 6792
架橋ポリエチレン 一般用架橋ポリエチレン管 JIS K 6769 M種E種(電気融着)
水道用架橋ポリエチレン管 JIS K 6787

※1:使用箇所の略称について
内…屋内で利用できる管。乾燥した屋内での利用が原則で、湿潤な場所では屋外用の管の同様に耐食性をもつ必要がある。
外…屋外で利用できる管。対候性(太陽光や風雨、温度変化などの耐久性のこと)に優れている。
埋…埋設管用。耐食性が優れているもので、一般的には施工手間がかかるものや価格が高いものであるので屋内では使用しない。
水…水路用。基本的には継手を設けず直管に挿し口と受け口を設けている。
※2:硬質ポリ塩化ビニルは屋外でも利用できるが、変形や退色のおそれはある。なお、通常の硬質ポリ塩化ビニル管より対候性を高めた屋外用の硬質ポリ塩化ビニル管も存在する。

なお、「一般的な接続方法」に記載した配管の接続方法については以下の記事にまとめた。

参考記事

鋼管

鋼管類は別記事にまとめた。

参考記事

ステンレス鋼管

ステンレス鋼管類は別記事にまとめた。

参考記事

銅管

銅または銅合金から製造された配管を銅管といい、銅管には一般的に脱酸剤としてリンを添加して酸素を除去した純銅(リンは僅かに残る)であるリン脱酸銅が用いられている。

価格は高価であるが、加工性が高く、耐食性が良く、コンクリートや土壌に対しての耐食性も良く、耐熱温度が100℃程度はあることから、幅広く使われていた。銅管は、強度がやや低く局部腐食による小さな穴が開く(ピンホール現象)が起きやすいため、現在では銅管を埋設配管として使用することは少なく、更にステンレス鋼管の台頭により衛生配管(給水や給湯)や空調配管(冷温水)での配管シェアは奪われてつつある印象がある。日本工業規格でJIS H3300と規格されており、このうち水道用の銅管は日本水道協会で水道用銅管としてJWWA H101に規格されている。

接続方法は、継手によるものとろう付けによるものがある。
継手によるものには、配管をフレア加工し接続する継手、プレス(圧着)によりかしめる継手、はめ込みで接続できるメカニカル継手などがある。
ろう付けには、軟ろう付(はんだソルダー接合とも)と堅ろう付がある。堅ろう付は融点が450℃以上の溶加材を用いるもの、軟ろう付は融点が450℃未満の溶加材を用いるものをいう。一般に給湯管は軟ろう付、冷媒管は堅ろう付で施工されている。なお、上水に利用する場合は鉛の利用されていない鉛レス(鉛フリー)のろう材を利用する必要がある。

補足
 

銅を利用したバルブには、青銅(砲金)製のものと黄銅(真鍮)製のものがある。配管が銅管でなくても銅製のバルブを利用することは多い。こちらも銅管と同様に上水に利用する場合は鉛レス(鉛フリー)のバルブを利用する必要がある。

青銅製バルブは、銅に錫が5%程度添加された、JIS規格やメーカー規格のバルブである。耐食性が高くプラント用途も含めた幅広い用途に用いることができる。黄銅製バルブは、銅に亜鉛が40%程度添加された、メーカー規格のバルブである。青銅製バルブより低価格に用いることができる。

配管用銅管

配管用銅管

配管用銅管は、衛生配管(給水や給湯)や空調配管(冷温水)だけでなく、医療ガス配管やガス配管にも利用されている。給水、給湯、冷温水配管などでは断熱や結露防止のため保温を施工する必要がある。

被覆銅管

被覆銅管

被覆銅管は、銅管に断熱や結露防止のための保温材がセットされた配管である。空調機の室内機と室外機をつなぐ冷媒配管は被覆鋼管により施工されていることがほとんどである。そのほか給水、給湯、冷温水配管などのための被覆銅管もある。

鉛管

鉛から製造された配管を鉛管といい、表面がサビて被膜を作り内部が腐食しにくい、黒っぽい色をした配管である。金属管であるが柔らかく加工しやすいため多く利用されていた。現在は鉛中毒による健康被害を防止する観点から1995年には上水に利用することは全面的に禁止され、排水通気用鉛管も改修現場の衛生器具とのつなぎ部分でしか見受けられない。

排水通気用鉛管

排水通気用鉛管は、排水や通気に利用された配管である。鉛管であるので加工しやすいが、鉛の軟ろう付(はんだソルダー接合とも)ができる作業員が少なくなっているので他の配管種類で更新することが好ましい。

鋳鉄管

鋳鉄管(FC)

ネズミ鋳鉄(FC)から製造された配管を鋳鉄管といい、腐食しにくい配管である。以前は水道管や下水道管のみならず、給水や排水など多く利用されていたが、現在は、上水道管や下水道管には鋳鉄管より優れたダクタイル鋳鉄管が利用され、給水や排水においてはより有利な他の配管材が利用されるため、鋳鉄管は利用されない。

ダクタイル鋳鉄管(FCD)

ダクタイル鋳鉄(FCD)から製造された配管をダクタイル鋳鉄管といい、腐食しにくい配管である。ダクタイルは、ネズミ鋳鉄の弱点であった強度や延性を改良した鋳鉄であり、上水道管や下水道管として最も利用されている配管である。

コンクリート管

鉄筋コンクリートから作られた配管をコンクリート管という。大型で重量があるので施工が大変であるが、外圧に対する強度が高いため上水道や下水道の埋設管として利用される。なお、コンクリート製の排水側溝なども広義ではコンクリート管に含まれる。

プレキャスト鉄筋コンクリート製品

プレキャスト(工場製造)工法の鉄筋コンクリートにより製造された箱形のコンクリート管はプレキャスト鉄筋コンクリート製品である。

コンクリート側溝に利用される小形のものから現場で組み立てる大形のものまで幅広く利用されている。

遠心力鉄筋コンクリート管

遠心力を利用して鉄筋コンクリートを筒形にしたコンクリート管を、遠心力鉄筋コンクリート管またはヒューム管という。

下水道に使う用途の内圧がかからないコンクリート管を外圧管、上水道に使う用途の内圧がかかる管を内圧管という。そのほか下水道の推進工法用のコンクリート管の推進管やその他に特殊管もある。

配管の末端の形状でA形、B形、C形がある。直管形をA形、内径が75~900mmのソケット継手形をB形、内径が900mm~1800mmのインロー継手形をC形という。A形とC形はモルタル接続、B形はゴム輪接続である。

硬質ポリ塩化ビニル管

硬質ポリ塩化ビニル管類は別記事にまとめた。

参考記事

ポリエチレン管

ポリエチレンから製造された配管をポリエチレン管といい、樹脂系の配管の一種である。

硬質ポリ塩化ビニル管と同様に鋼管などの金属管と比べたメリットは、サビが発生しないこと、軽量なこと、施工が容易なこと、摩擦抵抗が少ないこと、耐薬品性が高いことなどがある。通常の接続方法は電磁融着となり、施工に時間がかかるが衝撃に強いことから埋設管などに多く用いられている。

ポリエチレン管(各種)

ポリエチレン管は、給水配管のほか、ガス配管やプラント配管、上水道や下水道などにも使われている。使用用途により各種規格が異なるのでメーカーカタログ等を参照する。

水道用ポリエチレン管

水道用ポリエチレン管

上水に利用するポリエチレン管は、水道用ポリエチレン管としてJWWA K144に規格されている。

水道用ポリエチレン二層管

水道用ポリエチレン二層管

上水に利用するポリエチレン管のうち、外層がカーボンブラック配合のポリエチレンになっているものは、水道用ポリエチレン二層管としてJIS K6762に規格されている。

カーボンブラック配合のポリエチレンとすることで、対候性が向上し低温環境に強くなるので、屋外配管や寒冷地の埋設配管などに利用される。

補足
 

今回、表に記した配管種のうち、上水道や下水道に利用される管材をまとめると以下のようになる。埋設配管であるので継手の形状にも特別の注意が必要になる。

配管名称 接続方法
硬質ポリ塩化ビニル管 ゴム輪接続
鋼管 溶接
ステンレス鋼管 溶接
ダクタイル鋳鉄管 ゴム輪接続
コンクリート管 モルタル接合、ゴム輪接続
ポリエチレン管 電磁融着

ポリブテン管

ホースのように曲げても割れにくい特徴を持つ配管素材「ポリブテン」からなる、樹脂系の配管の一種である。配管の器具へのつなぎ込み部分で多く利用される。マンションなどの集合住宅ではヘッダーさや管工法で良く利用される。

エルボ等を利用せず配管自体を曲げることで目的地に配管するので、配管の末端以外は継手レスとなり、継手からの水漏れの可能性が少なくなる。対候性が無いので屋内配管の用途での利用に限られる。接続方法は、配管を差し込むだけで接続できるメカニカル継手が一般的だが、電磁融着接続用の2層となったポリブテン管もある。

一般用ポリブテン管

一般用ポリブテン管は、上水以外の水配管に利用するポリブテン管。規格はJIS K6778である。

水道用ポリブテン管

水道用ポリブテン管は、上水配管に利用できるポリブテン管。規格はJIS K6792である。

架橋ポリエチレン管

ホースのように曲げても割れにくい特徴を持つ配管素材「架橋ポリエチレン」からなる、樹脂系の配管の一種である。配管の器具へのつなぎ込み部分で多く利用される。マンションなどの集合住宅ではヘッダーさや管工法で良く利用される。

エルボ等を利用せず配管自体を曲げることで目的地に配管するので、配管の末端以外は継手レスとなり、継手からの水漏れの可能性が少なくなる。対候性が無いので屋内配管の用途での利用に限られる。接続方法は、配管を差し込むだけで接続できるメカニカル継手が一般的だが、電磁融着接続用の2層となった架橋ポリエチレン管もある。

一般用架橋ポリエチレン管

一般用架橋ポリエチレン管は、上水以外の水配管に利用する架橋ポリエチレン管。規格はJIS K6769である。

水道用架橋ポリエチレン管

水道用架橋ポリエチレン管は、上水配管に利用できる架橋ポリエチレン管。規格はJIS K6787である。

補足
 

ポリブテン管架橋ポリエチレン管の違いについて

ポリブテン管と架橋ポリエチレン管はよく似た特性を持ち、配管材としての大きな違いは無い。ポリブテン管が架橋ポリエチレン管より先発であるが、現在は後発の架橋ポリエチレン管が主流である。架橋ポリエチレン管はポリブテン管に比べてやや高価であるが耐久性が高い。ポリブテン管のほうがやや柔らかい。