法規に定められた特殊室の換気計算
特殊室
一部の特殊室は建築基準法やその他法律や規則等で換気回数が定められている。
詳細は法規や規則等を確認する。
※近年でも多くの法改正が行われているので最新の情報を確認すること。
以下の表に一覧にまとめたので、詳細は各項目を参照
特殊室用途 | 換気量 | 法規名等 | 目的 | 備考等 | |
---|---|---|---|---|---|
健康障害が考えられる作業場 | 有機溶剤 | 制御風速0.5m/s(特定化学物質障害予防規則)と、局所排気装置の形状によって決まる制御風速(有機溶剤中毒予防規則)のうち大きいほうから換気量を決定する | 労働安全衛生規則(特定化学物質障害予防規則と有機溶剤中毒予防規則) | 健康障害要因が作業者へ暴露する可能性を抑える | 有害物質を生じる設備等の設置や移転に関して労働基準監督署への届出が義務付けられている |
粉じん | 制御風速1.0m/s(特定化学物質障害予防規則)と、局所排気装置の形状によって決まる制御風速(粉じん障害防止規則)のうち大きいほうから換気量を決定する | 労働安全衛生規則(特定化学物質障害予防規則と粉じん障害防止規則) | |||
その他 | 特定化学物質の一部の物質、鉛則、石綿則で抑制濃度が定められたものは、一定距離(0.5~1m)で抑制濃度以下になるように換気量を決定する | 労働安全衛生規則 | |||
危険物の貯蔵・保管や製造をする施設 | 換気回数5~20回/h(消防や市の指導指針等での数値) | 危険物の規制に関する政令 | 引火や爆発等の防止、その他潜在的な危険性の考慮 | ||
駐車場や車庫等 | 14m3/m2h ※緩和や免除等あるので要確認 |
駐車場法施行令第12条 | 引火や爆発等の防止 | 「駐車場法施行令の一部を改正する政令(平成28年)」に自動車の環境性能が向上したこと等から 10回/h、25m3/hm2から現状の規定に改正されている | |
エレベーター機械室 | 室温が40度以下(許容最高温度)になるように計算した換気量 | 建築基準法施行令129条の9の3 | 室温上昇による機械故障や引火等の防止 | ||
燃焼の無い発電機室など | 室温が40度以下(許容最高温度)になるように計算した換気量 | 火災予防条例11条・12条 | 室温上昇による機械故障や引火等の防止 | ||
燃焼の有る発電機室など | 給気量:室温が40度以下(許容最高温度)になるように計算した換気量+必要燃焼空気量 排気量:室温が40度以下(許容最高温度)になるように計算した換気量 |
火災予防条例11条・12条 | 室温上昇による機械故障や引火等の防止、燃焼空気を供給 | ||
冷凍機室 | 吸収式、直だき有 | 給気量:室温が40度以下(許容最高温度)になるように計算した換気量+必要燃焼空気量 排気量:室温が40度以下(許容最高温度)になるように計算した換気量 ※換気回数5~10回/hとも比較する |
火災予防条例11条・12条 | 室温上昇による機械故障や引火等の防止、燃焼空気を供給 | 吸収式(水-臭化リチウム) |
吸収式、直だき無 | 室温が40度以下(許容最高温度)になるように計算した換気量 ※換気回数5~10回/hとも比較する |
(建築設備設計基準) | 吸収式(水-臭化リチウム) | ||
圧縮式 | (20~100t未満)0.4m3/min×法廷冷凍トン (100t以上)2.0m3/min×法廷冷凍トン0.65 ※開口部面積に応じた免除等あるので要確認 ※室温が40度以下(許容最高温度)になるように計算した換気量とも比較する ※換気回数5回/hとも比較する |
(建築設備設計基準) | 冷媒ガスの滞留防止 室温上昇による機械故障や引火等の防止 | 圧縮式(フルオロカーボン(一部除く)、二酸化炭素) | |
可燃性ガス又は毒性ガス | 2.0m3/min×法廷冷凍トン ※開口部面積に応じた免除等あるので要確認 ※室温が40度以下(許容最高温度)になるように計算した換気量とも比較する ※換気回数5~10回/hとも比較する |
冷凍保安規則(冷凍保安規則の機能性基準の運用について) | 有毒ガスの滞留防止 室温上昇による機械故障や引火等の防止 | 吸収式(アンモニア-水) 圧縮式(アンモニア、炭化水素、可燃性又は毒性有の一部のフルオロカーボン) | |
屋内喫煙室 | 出入口において室外から室内に流入する気流が0.2m/s以上 ※緩和や免除等あるので要確認 ※喫煙臭と粉じんを計算した換気量とも比較する |
健康増進法 | 室外部での受動喫煙の防止 汚染物質濃度が上昇による健康被害防止 | ||
その他(興行場や地下建築物) | 地方条例(各都市の建築安全条例や興行場法施工条例など) | 各都市で換気量を規定している場合があるので注意する |
健康障害が考えられる作業場の換気量
詳細は別ページにまとめた。
危険物の貯蔵・保管や製造をする施設の換気量
危険物の貯蔵・保管や製造をする施設は、引火や爆発等の重大な危険があるために十分な換気が必要とされているが、
実際の必要換気量の計算式は提示されていない。消防と協議の上、換気量を決定することが求められる。
換気回数は5~20[回/h]程度とされる。
駐車場や車庫等の換気量
駐車場や車庫等は、引火や爆発等の危険があるため十分な換気が必要とされている。
駐車場法施行令第12条より1m2当たり14m3/hの換気量を必要としている。
必要換気量[m3/h]=駐車場の床面積[m2]×14[m3/m2h]
換気に有効な開口部を持たない屋内駐車場100m2の必要換気量を求める。
必要換気量[m3/h]=駐車場の床面積[m2]×14[m3/m2h]=100×14=1400m3/h
エレベーター機械室の換気量
エレベーターの機械室は、室温上昇による機械故障や引火等の防止のため十分な換気が必要とされている。
建築基準法施行令129条の9の3より、室温が40度以下になるように換気量を決定する。
必要換気量[m3/h]=室内発生顕熱量[W]/(0.33×(40-導入外気温度)[℃])
積載量2000kgの自動車用エレベーターの必要換気量を求める。夏期外気設計温度を33℃、機器の発熱量を3000Wとする。
必要換気量[m3/h]=室内発生顕熱量[W]/(0.33×(40-導入外気温度)[℃])=3000/(0.33×(40-33))≒1300m3/h
燃焼の無い発電機室などの換気量
屋内の変電室や発電機室は、室温上昇による機械故障や引火等の防止のため十分な換気が必要とされている。
変電室は火災予防条例11条、発電機室は火災予防条例12条より、室温が40度以下になるように換気量を決定する。
必要換気量[m3/h]=機器発熱量[W]/(0.33×(40-導入外気温度)[℃])
大型変圧器(油入)1φ100kVA(50Hz)の設置された変電室の必要換気量を求める。夏期外気設計温度を33℃、機器の発熱量を1420Wとする。
必要換気量[m3/h]=機器発熱量[W]/(0.33×(40-導入外気温度)[℃])=1420/(0.33×(40-33))≒620m3/h
燃焼の有る発電機室などの換気量
ボイラ室やコージェネレーションシステムなどの内燃機関を原動力とする発電設備室などの場合は、
室温上昇による機械故障や引火等の防止のため十分な換気に加えて、給気には燃焼に必要な空気の取入が必要とされている。
必要給気量[m3/h]=室温上昇を抑えるために必要な空気量[m3/h]+燃焼に必要な空気量[m3/h]
必要排気量[m3/h]=室温上昇を抑えるために必要な空気量[m3/h]
ボイラ室の必要換気量
室温上昇を抑えるために必要な空気量[m3/h] → (機器本体からの発熱量+煙道からの放熱量)[W]/(0.33×(40-導入外気温度)[℃])
燃焼に必要な空気量[m3/h] → ボイラー等の消費熱量[kW]×1kW当たりの必要空気量[m3/h]
ボイラー等の消費熱量[kW]=燃料消費量×燃料の単位発熱量
1kW当たりの必要空気量[m3/h]
気体燃料の場合 | 1.204 |
---|---|
液体燃料の場合 | 1.204 |
固体燃料の場合 | 1.892 |
各燃料の単位発熱量
油種 | 単位 | 発熱量 | |
---|---|---|---|
MJ | kcal | ||
都市ガス13A | Nm3 | 45 | 10755 |
都市ガス12A | Nm3 | 41 | 9799 |
製油所ガス | Nm3 | 46.1 | 11018 |
LPG | Nm3 | 100.6 | 24043 |
LPG | kg | 50.2 | 11998 |
原油 | L | 38.3 | 9154 |
ガソリン | L | 33.4 | 7983 |
ナフサ | L | 33.3 | 7959 |
ジェット燃料油 | L | 36.5 | 8724 |
灯油 | kg | 43.1 | 10301 |
灯油 | L | 36.5 | 8724 |
軽油 | L | 38.0 | 9082 |
A重油 | L | 38.9 | 9297 |
C重油 | L | 41.8 | 9990 |
使用する燃料の割合で発熱量も異なるため要確認。
東京ガス株式会社「都市ガスの種類・熱量・圧力・成分」
石油連盟「統計情報」
LPGガスだき大型貫流ボイラを設置したボイラ室内の換気量を求める。夏期外気設計温度を33℃とする。
LPGガスだき大型貫流ボイラ(熱出力1881kW、燃料消費量73.7Nm3/h)の廃ガスが、
角形煙道(長さ4.0m、寸法500×500、熱通過率2.0W/m2K、排ガス温度350℃)により排気されている。
機器本体からの発熱量を熱出力の1%とすると、
機器本体からの発熱量[W]=熱出力[W]×0.01=1881000×0.01=18810W
煙道からの放熱量を熱通過量より求めると、
煙道からの放熱量[W]=表面積[m2]×熱通過率[W/m2K]×煙道内外温度差(K)={(0.5+0.5)×2×4.0}×2.0×(350-40)=4960W
ボイラー等の消費熱量は、LPGの発熱量を表より100.6MJ/Nm3とすると、
ボイラー等の消費熱量[kW]=燃料消費量×燃料の単位発熱量=73.7[Nm3/h]÷3600[s/h]×100.6[MJ/Nm3]×1000[kJ/MJ]≒2060[kJ/s]=2060[kW]
1kW当たりの必要空気量は1.204m3/h
よって必要換気量は
必要給気量[m3/h]=(機器本体からの発熱量+煙道からの放熱量)[W]/(0.33×(40-導入外気温度)[℃])+ボイラー等の消費熱量[kW]×1kW当たりの必要空気量[m3/h]
=(18810+4960)/(0.33×(40-33))+2060×1.204≒10290+2480=12770m3/h
必要排気量[m3/h]=(機器本体からの発熱量+煙道からの放熱量)[W]/(0.33×(40-導入外気温度)[℃])
=(18810+4960)/(0.33×(40-33))=10290m3/h
湯沸室や厨房などの必要換気量の式とボイラ室の必要換気量の式と大きな違いは廃ガス排気量を加えるか否かにある。
ボイラ室の換気では、廃ガスは煙突にて室内空気と別に排気するので換気量に含まない。燃焼のために必要な空気は別途供給している。
湯沸室や厨房などの換気では、廃ガスはガスの消費によって空気中に発生発散するので換気量に含んでいる。燃焼のために必要な空気は廃ガスを換気するために必要な空気で賄えるため加えない。
ディーゼルなどの発電装置室の必要換気量
室温上昇を抑えるために必要な空気量[m3/h] → 発電装置の発熱量[W]/(0.33×(40-導入外気温度)[℃])+発電装置の燃焼空気量[m3/h]
燃焼に必要な空気量[m3/h] → 表や仕様書から求まる発電装置の燃焼空気量[m3/h]
発電装置の発熱量と燃焼空気量(ディーゼルエンジン)
発電機定格出力 | kVA | 37.5 | 50 | 62.5 | 75 | 100 | 125 | 150 | 200 | 250 | 300 | 375 | 500 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
発熱量 | kW | 12.5 | 15.5 | 18.5 | 21.3 | 26.9 | 32.2 | 37.6 | 47.9 | 53.8 | 62.5 | 71.6 | 91.7 |
燃焼空気量 | m3/h | 300 | 400 | 490 | 600 | 760 | 940 | 1260 | 1670 | 1860 | 2210 | 2540 | 3360 |
ディーゼルエンジンの効率向上により、上表と大きく数値が離れてしまう場合もあるので、メーカー確認とするのが好ましい
ディーゼル発電装置125kVAの設置された発電機室の必要換気量を求める。夏期外気設計温度を33℃とする。
発熱量と燃焼空気量は上記の表より求める。
発電装置の発熱量[W]=32.2[kW]×1000[W/kW]=32200W
燃焼空気量[m3/h]=940m3/h
よって
必要給気量[m3/h]=発電装置の発熱量[W]/(0.33×(40-導入外気温度)[℃])+発電装置の燃焼空気量[m3/h]=32200/(0.33×(40-33))+940≒13940+940=14880m3/h
必要排気量[m3/h]=発電装置の発熱量[W]/(0.33×(40-導入外気温度)[℃])=32200/(0.33×(40-33))+940≒13940m3/h
ディーゼル発電装置125kVAの設置された発電機室の必要換気量を求める。
夏期外気設計温度を33℃とした時の室内必要換気量は177m3/min、装置ラジエータの排気量は164m3/min、ラジエータの排気はダクトにより直接室外に排気されるものとする。
この場合、給気は換気扇などを設置して給気しなくてはならないが、排気は装置側で排気するため別途設置は不要になる。
必要給気量は177m3/min=10620m3/hになる。
コージェネレーションシステムなどの内燃機関を原動力とする発電設備
室温上昇を抑えるために必要な空気量[m3/h] → {燃料ガス消費量[Nm3/h]×燃料ガスの低位発熱量[kJ/m3]×機関の放散損失率×発電機の定格出力[kW]×(1/発電機効率-1)}[W]/(0.33×(40-導入外気温度)[℃])
燃焼に必要な空気量[m3/h] → 完全燃焼理論空気量[m3/ガスm3]×燃料ガス消費量[Nm3/h]×空気過剰率×{(273+導入外気温度)/273}
機関の放散損失率は0.03程度、発電機効率は0.916~0.918とする。
完全燃焼理論空気量
燃料の種類 | 完全燃焼理論空気量[m3/ガスm3] | 低位発熱量[kJ/m3] | 高位発熱量[kJ/m3] |
---|---|---|---|
A重油 | 9.2 | 37.2 | 39.2 |
B重油 | 9.4 | 39.4 | 40.4 |
C重油 | 9.6 | 41 | 42 |
灯油 | 9 | 35 | 36.8 |
都市ガス13A | 10.7 | 41.5 | 46.1 |
LPG(プロパン) | 23.8 | 23.5 | 25.6 |
LPG(ブタン) | 31 | 25.8 | 28 |
冷凍機室の換気量
吸収式、直だき有
直だきがある場合、ボイラ室などと同様に火災予防条例により換気量が定められている。
室温上昇による機械故障や引火等の防止のため十分な換気に加えて、給気には燃焼に必要な空気の取入が必要とされている。
①温度による換気量
必要給気量[m3/h]=機器発熱量[W]/(0.33×(40-導入外気温度)[℃])+燃焼に必要な空気量[m3/h]
必要排気量[m3/h]=機器発熱量[W]/(0.33×(40-導入外気温度)[℃])
②換気回数による換気量
必要換気量[m3/h]=室容積[m3]×換気回数5~10[回/h]
のうち、どちらか大きいほう
吸収式、直だき無
直だきがない場合、法規で定められた換気量はないため建築設備設計基準を参考にすると
①温度による換気量
必要換気量[m3/h]=機器発熱量[W]/(0.33×(40-導入外気温度)[℃])
②換気回数による換気量
必要換気量[m3/h]=室容積[m3]×換気回数5~10[回/h]
のうち、どちらか大きいほう
圧縮式
圧縮式の場合、法規で定められた換気量はないため建築設備設計基準を参考にすると
①法定冷凍トンによる換気量
20~100t未満 必要換気量[m3/min] =0.4[m3/min]×法廷冷凍トン
100t以上 必要換気量[m3/min] =2.0[m3/min]×法廷冷凍トン0.65
②温度による換気量
必要換気量[m3/h]=機器発熱量[W]/(0.33×(40-導入外気温度)[℃])
③換気回数による換気量
必要換気量[m3/h]=室容積[m3]×換気回数5[回/h]
のうち、どちらか大きいほう
室容積60m3の機械室に冷却能力1092kW(法定冷凍トンは101.56)の圧縮式冷凍機が設置したときの必要換気量を求める。
機器からの放熱量を熱出力の0.5%、夏期外気設計温度を33℃とする。
①法廷冷凍トンによる換気量
必要換気量[m3/min]=2.0[m3/min]×法廷冷凍トン0.65=2.0×101.50.65≒40.3m3/min≒2420m3/h
②温度による換気量
機器発熱量[W]=熱出力[W]×0.005=1092000×0.005=5460W
必要換気量[m3/h]=機器発熱量[W]/(0.33×(40-導入外気温度)[℃])=5460/(0.33×(40-33))≒2370m3/h
③換気回数による換気量
必要換気量[m3/h]=室容積[m3]×換気回数5[回/h]=60×5=300m3/h
よって必要換気量は①~③より、2420m3/h
可燃性ガス又は毒性ガス
可燃性ガス又は毒性ガスがある場合、滞留防止のため冷凍保安規則により換気量が定められている。
①法定冷凍トンによる換気量
必要換気量[m3/min]=2.0[m3/min]×法廷冷凍トン
②温度による換気量
必要換気量[m3/h]=室内発生顕熱量[W]/(0.33×(40-導入外気温度)[℃])
③換気回数による換気量
必要換気量[m3/h]=室容積[m3]×換気回数5~10[回/h]
のうち、どちらか大きいほう
室容積60m3の機械室に冷却能力175.1kW(法定冷凍トンは34.33)の水-アンモニア吸収式冷凍機が設置したときの必要換気量を求める。
機器からの放熱量を熱出力の0.5%、夏期外気設計温度を33℃とする。
①法廷冷凍トンによる換気量
必要換気量[m3/min]=2.0[m3/min]×法廷冷凍トン=2.0×34.33≒68.7m3/min≒4120m3/h
②温度による換気量
機器発熱量[W]=熱出力[W]×0.005=175100×0.005=875.5W
必要換気量[m3/h]=機器発熱量[W]/(0.33×(40-導入外気温度)[℃])=875.5/(0.33×(40-33))≒380m3/h
③換気回数による換気量
必要換気量[m3/h]=室容積[m3]×換気回数5[回/h]=60×10=600m3/h
よって必要換気量は①~③より、4120m3/h
屋内喫煙室
健康増進法により、屋内の喫煙室はドア開放時に喫煙室内の臭気が外部に漏れださないように換気風量を求める必要がある。
出入口において室外から室内に流入する気流が0.2[m/s]以上としている。
必要換気量[m3/h]=開口部面積[m2]×風速(=0.2)[m/s]×3600[s/h]×安全率(=1.2程度)
100m2の喫煙所に1箇所ドア(W1200×H2000)がある場合の必要換気量を求める。ドアのほかに開口部は無いものとする。
必要換気量[m3/h]=開口部面積[m2]×風速[m/s]×3600[s/h]×安全率=(1.2×2.0)×0.2×3600×1.2≒2080m3/h
健康増進法による必要換気量の計算は、あくまで臭気を外部に漏らさないためのもので内部の汚染状況は無視されている。
法規に定められてはいないが、喫煙室内の汚染物質濃度を基準値以下とするための換気量は茶本に記載されている。
快適な喫煙室を計画するにはこの換気量も考慮する必要がある。
必要換気風量[m3/h]=W/S
ここに、喫煙量W[mg/h]=n×A×L1×N
S :喫煙臭を軽度に保つためのたばこ燃焼量/換気量 (=35.3) [mg/m3]
n :人員密度 (=0.2~1.0) [人/m2]
A :喫煙スペース床面積 [m2]
L1:たばこ1本当たりの燃焼量 (=700) [mg/本]
N :喫煙者1人換算時の1時間当たりの喫煙本数 (=12) [本/h人]
空気清浄装置の循環風量[m3/h]={M1-(C-C0)×Q}/(C×η)
ここに、浮遊粉じん発生量M1[mg/h]=n×A×L2×N
C :設計用室内粉じん濃度 (=0.15) [mg/m3]
C0:設計用外気粉じん濃度 (=0.026) [mg/m3]
η:空気清浄装置の粒子捕集率
L2:たばこ1本当たりの浮遊粉じん発生量 (=19.5) [mg/本]
100m2の喫煙所に粒子捕集率を95%の空気清浄機を1台設置する。
喫煙所の人員密度を0.5人/m2とした時の必要換気量と循環量を求める。
喫煙量W[mg/h]=n×A×L1×N=0.5×100×700×12=420000mg/hより
必要換気量[m3/h]=W/S=420000/35.3≒11900m3/h
換気によって排気された粉じん量は、汚染物質濃度における換気量の式※から式変形し
室内汚染物質排気量[mg/h]=内外汚染物質含有量差[mg/m3]×必要換気量[m3/h]=(C-C0)×Q=11900×(0.15-0.026)=1475.6mg/h
汚染物質含有量差は、粒子捕集率が与えられているので
汚染物質含有量差[mg/m3]=C×η=0.15×0.95=0.1425
浮遊粉じん発生量M1[mg/h]=n×A×L2×N=0.5×100×19.5×12=11700mg/hより
空気清浄装置の循環風量[m3/h]={M1-(C-C0)×Q}/(C×η)=(11700-1475.6)/0.1425≒71750m3/h
※この記事は2020年時点の法規等に基づいて作成されたものです。