換気風量の求め方
室外の空気を取り込み、室内の空気を排出する。これを「換気」と呼び、建築を設計する上で換気計画は必須となってくる。
建物や設置機械の保全と人の健康維持において有害になる、熱や湿気、臭気や一酸化炭素・二酸化炭素等の有害ガス、粉じんや微生物等の有害物を排除するためや、人の呼吸や機械による空気燃焼において消費した酸素を供給のために換気を行う。
換気計画をする際は室用途からどのような有害空気が出るかを考えて、それぞれの室にあった換気計算を行い換気風量を決定する必要がある。以下に換気計算の式をまとめた。
室用途と換気計算式
室用途により換気計算式が異なるので、検討している室がどのような室用途であるかを考えることが最も重要である。
そのために室内にどのような有害空気があるのかを考える。
居室等の換気計算式
居室等であれば、そこでは「人間」が酸素を吸収し二酸化炭素を排出し、熱や湿気を発散させる。更にパソコンなどの「機器類」からは熱が発生し、「建築材」からはホルムアルデヒド等の有害物が飛散している。
しかし、よほどの熱を発生する機器がある室でなければ、二酸化炭素の排出量に比べて、熱や湿気等における必要換気量は少ないため無視されることが多い。
よって居室等の必要換気量は、
必要換気量[m3/h]=一人当たりの必要換気量(20~35)[m3/h人]×室内の収容人数 から求められる。
この換気量が、建築材からのホルムアルデヒド等の飛散によるシックハウス症候群の防止のために必要な換気量より大きいことを確認する。
便所や更衣室等の換気計算式
便所や更衣室等は居室と異なる室用途であり、利用の仕方が異なるため居室等の換気量の式はあまり利用しない。
例えば、
便所であれば、そこでは人が一時的に滞在し用を足し、衛生器具周辺にはアンモニア等の有害ガスや有害物が飛散する。
更衣室であれば、一時的に在室する人間が多くなり、着替えなどの動作を行うことで通常より二酸化炭素を多く発生する。
このように居室と異なる室用途である場合は、各々の有害物の排出に必要な換気量を計算し合算する必要があるが煩雑なため、換気回数から計算する場合が多い。
よって換気回数による必要換気量は、
必要換気量[m3/h]=室容積[m3]×換気回数[回/h] から求められる
火を使用する室等の換気計算式
湯沸室や厨房であれば、火気の使用によりガスを消費し酸素を吸収し二酸化炭素を排出し、大量の熱や水蒸気による湿気や臭気が出るため、火を使用する室は換気量の決定にあたり、特段の考慮が必要になる。
よって火を使用する室等では、3つの算定方法による換気量のうち、最も大きい方を換気量として採用することとしている。
・厨房等の換気回数による換気量の算定
・機器のガス消費量による換気量の算定
・フード部の面風速による換気量の算定
特殊室等の換気計算式
火を使用する室など、特段の考慮が必要になる室では建築基準法等の法規により必要換気量が定められている。
特殊な室用途の場合は、これに該当しないか確認する必要がある。