配管流量について

配管径は、配管流量流体が滞留することなく流れきるかを検討することで決定出来る。これは、配管材や流体の種類に関わず基本的には同じであるので、それについてまとめた。なお、各流体により重要視すべきポイントが異なってくるのでそれについては以下の別記事に記載した。

参考記事

配管流量の求め方

配管流体の必要箇所である各機器(または器具)での流量から配管流量を求める。

各機器での流量は、機器の仕様書などから読み取ることが出来る。衛生器具であれば、各衛生器具の流量は建築設備設計基準掲載の表などから求めることができる。プラントなどでは、機器側で必要な流量や圧力が指示されているためそれに従う。

流量は各機器の必要流量の全合計である100%の流量が必要になるわけではなく、実際はそこから同時使用率を考慮して求める。例えば、必要流量100L/minの器具が3台あり、同時使用率70%の場合は、
配管流量=100×3×70%=210[L/min]になる。

流量と使用率の関係

ここで求めた配管流量が、配管径を求める基本になる。流量の表示には質量流量と体積流量があるが、必要となるのは体積流量である。質量流量が与えられた場合には体積流量に変換する必要がある。
流体の密度は圧力によって変化するのが一般的であるため、流量を質量流量で表示とすることが多い。ただし、水は圧力による密度の変化が無視できる程度に小さい非圧縮性流体であるため体積流量表示とすることが多い。

参考予定>>給水管径の求め方、排水管径の求め方

体積流量から配管径を求める

体積流量とは、単位時間当たりの配管断面に流れる流体体積の移動のことをいう。
体積を表す単位は、主にm3(立法メートル)やL(リットル)などが利用されている。

体積流量と流体の速度から、配管径を求めることができる。流体の速度は、各流体の使用用途などにより推奨流速が存在している。

体積流量と、配管の断面積と流速は以下のような関係になる。
体積流量=配管の断面積×流速
この関係式と、配管の断面積=(配管の直径×1/2)2×円周率πより

流量[L/min]×60=(配管の直径[mm])2/(4×1000)×円周率π×流速[m/s]

体積流量と流速

※上の式はよく使われる単位に換算している。
 換算式は以下を参照。なお、1m3=1000L、1min=60s、1m=1000mmである。
 流量[m3/s]=配管の断面積[m2]×流速[m/s]
 流量[L/min]/1000[L/m3]×60[min/s]=( 配管の半径[mm] /1000[mm/m] )2×円周率π×流速[m/s]
 流量[L/min]/1000×60={(配管の直径[mm]/2)/1000}2×円周率π×流速[m/s]
 流量[L/min]×60=( 配管の直径[mm])2/(4×1000) ×円周率π×流速[m/s]

質量流量を体積流量に換算する

質量流量とは、単位時間当たりの配管断面に流れる流体質量の移動のことをいう。
質量を表す単位は、主にg(グラム)やkg(キログラム)、t(トン)などが利用されている。

質量流量と密度(または比容積)がわかれば、以下の関係式より体積流量に変換することができる。
体積流量=質量流量/密度
体積流量=質量流量×比容積 
(比容積とは、単位質量当たりの容積(体積)のことをいう。比容積は、密度の逆数である。)

流量[L/min]=流量[kg/h]×60×1000/密度[kg/m3]

※上の式はよく使われる単位に換算している。
 換算式は以下を参照。なお、1m3=1000L、1h=60minである。
 体積流量[L/min]=質量流量[kg/min]/密度[kg/L]
 体積流量[L/min]=質量流量[kg/h]×60[h/min]/(密度[kg/m3]/1000[L/m3])

配管流体と温度と圧力の関係

質量流量は温度や圧力によらず一定である。しかし、流体の密度は温度や圧力によって変化するため、体積流量は温度や圧力によって変化するので注意が必要になる。温度や圧力との関係は、流体が気体か液体かによっても異なるので以下に記載する。体積流量の表示では、現状の温度や圧力による体積流量を表すほか、標準状態(0℃、大気圧)での体積流量を表すこともある。

配管流体が気体の場合

配管流体が気体の場合は、温度と圧力と体積の関係はボイルシャルルの法則によって表すことができる。
k(一定)=絶対圧力P×体積V/温度T

なお、液体や固体の場合は、気体と異なりボイルシャルルの法則は適用されない。
ただし、気体ほど体積変化が大きくないため、しばしば体積変化は無視されることがある。

配管流体が気体の場合はさらに、分子量から体積を求めることが出来る。
1mol(分子の個数が6.02×1023を表す単位)の時の質量[g]を分子量といい、1mol時の気体は必ず体積22.4[L]となる。なお、22.4[L]は標準状態(0℃、大気圧)での体積である。

参考

ガスの種類と密度

ガス種類 化学式 分子量 密度 [kg/m3]
酸素 O2 32 32/22.4=1.429
窒素 N2 28 28/22.4=1.250
二酸化炭素(炭酸ガス) CO2 44 44/22.4=1.964
亜酸化窒素(笑気ガス) N2O 44 44/22.4=1.964
ヘリウム He 4 4/22.4=0.179
アルゴン Ar 40 40/22.4=1.786

配管流体が液体の場合

配管流体が液体の場合は、気体と異なり体積変化が大きくない。よって体積流量の変動は気体の場合に比べて重要視されない。
ただし、液体は粘度が大きいので、配管内の圧力損失が大きくなるため注意する。

液体の粘度は温度が高くなると小さくなるが、反対に気体の粘度は温度が高くなると大きくなる。なお、気体の場合は液体と比べて粘度が小さい傾向にあるので、流体にもよるが配管径選定において圧力損失を特段考慮しない場合もある。

参考

水の密度と粘度(大気圧1013.25hPaのとき)

温度[℃] 密度[kg/m3] 粘度[mPa・s]
4.35 999.997 1.551
5 999.993 1.519
10 999.741 1.307
15 999.138 1.138
20 998.233 1.002
25 997.062 0.890
30 995.654 0.797
35 994.372 0.720
40 992.210 0.653
45 990.206 0.596
50 988.030 0.547
55 985.692 0.504
60 983.200 0.467
65 980.561 0.433
70 977.781 0.404
75 974.865 0.378
80 971.818 0.354
85 968.644 0.333
90 965.347 0.315
95 961.929 0.297
100 958.393 0.282

空気の密度と粘度(大気圧1013.25hPaのとき)

流体が滞留することなく流れきるか

配管径を考える上で、流量の他に重要になるのが「流体が滞留することなく流れきる」ことである。ここで言う「流体が滞留することなく流れきる」とは、圧力配管であればポンプなどでかけた圧力が末端までなくなることなく流れきることを指し、非圧力配管であれば排出の勢いと配管の勾配によって流体が流れきることを指す。

圧力配管は、流体に圧力をかけることで配管内を流動させている配管であり、非圧力配管は、流体を重力により自然勾配で流動させている配管である。

流体に供給先がある場合は、吐出圧力が必要になるため非圧力配管は用いられない。よって、ほとんどの配管は圧力配管になり、非圧力配管となるのは主に排水管関連である。

圧力配管の配管径

圧力配管の配管径は、前述の流速が大きくなり過ぎないようにすることに加えて、圧力損失が大きくなり過ぎないようにすることが必要になる。

配管の圧力損失は、以下の式によって求められる。なお管摩擦係数の計算は煩雑であるのでここでは省略するが、流体速度や密度のほかに流体の粘度や配管材の表面粗さがここに関連してくる。(下記の別記事に記載。)

圧力損失[Pa/m]=摩擦係数×動圧[Pa]/配管直径[m]

参考記事

圧力配管では、流速と単位摩擦損失(単位長さ当たりの圧力損失)が大きくなり過ぎないように配管径を設定し、配管末端で必要吐出圧力を出すことできるかを判断する。

参考予定>>給水管径の求め方

なお、蒸気や圧縮空気などの気体配管は粘度が小さい傾向にあるので、圧力損失計算はしばしば省略され、圧力損失を考慮した適正速度より配管径を求めることが多いも。この場合は前述の標準流速のみで配管径を求められる。

参考予定>>蒸気管径の求め方、圧縮空気管径の求め方

参考

配管の吐出圧力

吐出圧力とは、配管末端から流体が出てくる力をいう。

圧力配管では、ポンプなどで流体に圧力をかけることで流動させている。その圧力の一部は、配管内の摩擦や配管の曲がりや分岐にぶつかることで損失されて、残った圧力が配管末端で吐出圧として吐き出される。吐出圧があることで上にひねった蛇口からも水が出るようになる。

吐出圧について

吐出圧がかかってない状態の流体として、水が満タンに入った袋の上に穴を開けた場合をイメージして欲しい。この時穴から排出される水は、圧力がかかってないので重力によって下に漏れるだけになる。しかし、その袋を手でぎゅっと握ると圧力がかかり水は上に吹き出るようになる。このように圧力をかけてあげることで重力に逆らう方向でも水を吐出することが出来る。

非圧力配管の配管径

非圧力配管の配管径は、排水流量と空気の取入れを考慮して求める必要がある。
非圧力配管は配管内に空気を取入れているので、配管内で空気と排水の2流体が流れる2流体配管になる。2流体配管は、流量≠配管の断面積×流速となってしまうので、排水は負荷単位法や定常流量法などの圧力配管とは異なる手法で配管径を求める必要がある。

非圧力配管を2流体配管とするのは、空気の力で圧力のかかっていない流体を移動させるためである。
イメージとして、水が満タンに入ったペットボトルを例にする。満水のペットボトルを傾けても水はその場所からほぼ動かないが、水を抜いて少し空気を入れてからペットボトルを傾けるとコポコポと音を立てて水が動き出す。この動きを配管内でも起こすために空気を取り入れている。

通気の必要性をペットボトルでイメージする
参考

圧力配管の2流体配管

非圧力配管ではないが、蒸気配管の還り管は蒸気と温度が下がり液体に還ってしまった水(蒸気ドレン)の2流体配管である。よって蒸気ドレンを排出するために配管に勾配をつけて、重力の力で蒸気ドレンを移動させている。なお、2流体配管の配管径の算出は難解であるため実務上で算出されることは少ない。蒸気ドレンの管径を求めるうえでは気体である蒸気と比較し、体積が小さい液体の蒸気ドレンを無視して管径を求めることが一般的である。