空調機能力と馬力換算表、仕様書の読み方

熱負荷計算を行い空調機の必要な処理能力を求めて空調機を選定する。
ここでは空調機の仕様書に記載されている、馬力や能力、顕熱比(SHF)、COPやAPFなどの用語をまとめた。

参考記事

馬力(HP)と能力[kW]の換算目安

空調機では8畳相当の部屋を冷やす能力(≒2.8kW)を1馬力(HP)と呼んでいる。
※仕事率の1馬力「75kgの物を1秒で1m動かす力(≒0.75kW)」とは全く異なる。
※SI単位のkW表示のほか、kcal/h表示も未だに多く見られる。1[kW]≒860[kcal/h]

馬力換算表

馬力(HP) 能力[kW]
冷房 暖房
1.5 3.6 4.0
1.8 4.0 4.5
2.0 4.5 5.0
2.3 5.0 5.6
2.5 5.6 6.3
2.8 6.3 7.1
3.0 7.1 8.0
3.3 8.0 9.0
4.0 10.0 11.2
5.0 12.5 14.0
6.0 14.0 16.0
8.0 20.0 22.4
10.0 25.0 28.0
16.0 40.0 45.0
20.0 50.0 56.0
24.0 60.0 67.0

顕熱比(SHF)

顕熱比とは、空調機の処理能力の内で顕熱の処理能力の割合をいう。
夏期の熱負荷計算を行う際には顕熱と潜熱を分けて計算し、顕熱負荷と潜熱負荷の割合を確認する。

顕熱比(SHF)=空調機の顕熱処理能力/全熱処理能力

顕熱比についての詳細は以下のページにまとめた。

参考記事

省エネルギー指標

環境負荷の軽減のため省エネルギーの観点から、空調機の効率を上げて消費エネルギーを減らすことが求められている。
省エネルギーに留意した空調機やシステムであるかを判断する指標を以下に紹介する。

COPとAPF

空調機の性能を表す指標。成績係数とも呼ばれるCOP表示と、2006年10月からエネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)により加わったAPF表示がある。

COPとは、エネルギー消費効率:Coefficient Of Performance の略。
1kWの消費電力あたり、どれだけの冷房・暖房効果が得られるかを示す指標で、COP値が大きいほど省エネ性能が優れていることになる。

COP=定格能力[kW]/定格消費電力[kW]

APFとは、通年エネルギー消費効率:Annual Performance Factor の略。
1年間の消費電力あたり、どれだけの冷房・暖房効果が得られるかを示す指標で、APF値が大きいほど通年での省エネ性能が優れていることになる。
JIS B 8616 で定められてる運転環境条件のもとで1年間エアコンを運転した場合の運転効率を示す。

APF=(冷房期間+暖房期間 で発揮した能力[kWh])/(冷房期間+暖房期間 の消費電力量[kWh])

APF算出条件

  店舗・オフィス用エアコン ビル用マルチエアコン
設備用エアコン
規 格 JIS B 8616:2015
地 区 東 京
建物用途 戸建て店舗 事務所
使用期間 冷 房 5月7日~10月17日 4月19日~11月11日
暖 房 11月17日~4月3日 12月3日~3月15日
使用日数 週7日 週6日
使用時間 8:00~21:00 8:00~20:00

日本冷凍空調工業会

電気特性値

消費電力、運転電流、力率

消費電力[kW]とは、空調機を使用する際に運転電流[A]が流れることで1秒間で有効に消費されるエネルギーのこと。
なお、機器に供給された全電力(皮相電力[kVA])のうち、実際に消費された電力の割合を示すのが力率である。

消費電力[kW]=皮相電力[kVA]×力率=運転電流[A]×定格電圧[V]×力率

電源の渡り配線と消費電力

室外機と室内機の両方に消費電力の記載がある場合と、室外機のみに消費電力の記載がある場合がある。
これは室外機と室内機が別々に電源を持ち電気を消費しているか、室外機が電源を持ち室内機に配線により電気を供給しているかによって異なる。

マルチエアコンの場合は、室外機と室内機が別々に電源を持ち電気を消費している。
パッケージエアコンの場合は、室外機が電源を持ち室内機に配線により電気を供給している。

参考記事

電動機出力

電動機とは、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する装置のことをいい、空調機では圧縮機(COP)送風機(FAN)に電動機が使用されている。
つまり電動機出力は、それらの機械ごとの出力を指す。

室外機は圧縮機と送風機を持ち、室内機は送風機を持つ。
空調機に供給した電力はおおよそ電動機に消費されるので、消費電力[kW]=内部抵抗等による電力ロス+電動機の消費電力(=電動機出力/効率)の合計であるが、電力ロスは運転状態や環境によっても異なるため、正確な数値を計算により求めることが難しい。

参考記事