自然換気方式と機械換気方式
換気方式には、窓や給気口/排気口などの開口から自然に空気が流れるように計画する自然換気と、ファンや空調機などの機械の力によって換気する機械換気がある。
換気による空気の流れを理解し、換気の方式を決定する。自然換気では導入しきれない必要換気風量がある場合や、必要な自然換気用の開口が取れない場合などの時は、機械換気によって必要な換気風量を導入する必要がある。換気方式は以下の4種類になる。
- 第一種機械換気…給気も排気も機械(送風機と排風機)による方式。
- 第二種機械換気…給気は機械(送風機)、排気は自然排気(窓や排気口から)による方式。
- 第三種機械換気…給気は自然給気(開口から)、排気は機械(排風機)による方式。
- 自然換気 …給気も排気も自然(開口から)に行う方式。第四種換気と呼ぶ人もいる。
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なお、基本的には自然換気に頼った換気法では換気量が確保できないため、建築基準法などの法律で機械換気としなくてはいけない場合について定められている。それについては別記事にまとめた。
各種換気方式について
第一種機械換気
給気も排気も換気装置(送風機/排風機)により行う方式。
他の方式に比べてが換気装置が多くなるため、イニシャルコスト・ランニングコストが共に増加する。
送風機と排風機の風量を調整することで、換気する部屋を正圧室にも負圧室にもできる。
第二種機械換気
給気のみを装置(送風機)により行う方式。排気は窓や排気口などの開口から自然に押し出せれる。
換気する部屋は、排気風量より給気風量が大きくなるため正圧室となる。
第三種機械換気
排気のみを装置(排風機)により行う方式。給気は窓や給気口などの開口から自然に流入する
換気する部屋は、 給気風量より排気風量が大きくなるため負圧室となる。
正圧/負圧とは(空気の流れと室内圧力)
大気圧※と比べて空気圧力が、高い状態の部屋を正圧室、低い状態の部屋を負圧室という。 空気は気圧の高いところから低いところに流れていくため、 正圧室では開口から隣室に空気が押し出される状態で、負圧室では開口から隣室の空気が流入する状態である。 換気の計画時では、この正圧と負圧の特徴から空気の流れを考えて換気方式を検討する必要がある。
※大気圧…換気についての大気圧は、主に外気の空気圧力である外気圧を指す。標準大気圧(1気圧)は1013.25hPaとされている。
給気と排気の風量の大きさに差がある場合に正圧または負圧となり、圧力差を生じる。室内外の圧力差が過大になると、ドアなどの扉の開閉がしにくくなるなどの問題が起きる。そのため、換気風量を調整して適正な圧力差になるように計画する必要がある。それについては別記事にまとめた。
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正圧とする室
一般に正圧にする室は、空気の流入を嫌う室であるため清浄度が高い部屋であることが多い。
清浄度が高い部屋として、手術室やクリーンルームなどがある。
その他に正圧室とするのは、ボイラ室やガス焚き冷凍機室などの燃焼装置のある室※1は空気の供給不足により燃焼に影響が出る室や、大浴場の手前の脱衣室などの換気方向を調整したい室※2などにも利用される。
正圧室とするためには、第一種機械換気または第二種機械換気にする必要がある。
※1:燃焼装置のある室は、基本的には第1種機械換気としてその部屋のみで完結するように計画する。排気を隣室に流すのは、火災時の燃焼空気の流出の原因になり好ましくないため、第二種機械換気としてもよいのは建物から離れて単独で設置されている場合に限る。
※2:脱衣室を第二種機械換気とすることで、大浴場の湿気を含んだ空気が脱衣室を超えて廊下などに排気されないように出来る。
負圧とする室
一般に負圧とする室は、 空気の流出を嫌う室であるため清浄度が低い部屋であることが多い。
清浄度が低い部屋として、トイレや脱衣室などがある。
その他に負圧室とするのは、浴室やシャワー室など湿気がある室や、台所や湯沸かし室など熱の発生する室などにも利用される。
負圧室とするためには、第一種機械換気または第三種機械換気にする必要がある。
換気方式の決定
換気方式は、上記のことを踏まえて各部屋ごとに検討する必要がある。換気量を調整しやすい第一種機械換気とすることが望ましいが、実際はライニングコストやイニシャルコストとの兼ね合いもあり、全ての部屋を第一種機械換気とするのは現実的ではなく、各部屋への空気の流れを考慮してふさわしい換気方式を決定する。また、換気風量は室用途と室の大きさによって異なるため、それについては別記事にまとめている。
下記の平面図の場合の換気の方式を検討する。
(1)、事務室は、作業スペースとして基本的には1年中扉や窓を締め切り空調している。
(2)、会議室は、普段は無人で使用時は大人数での利用になる。
(3)、エントランスと廊下には、間仕切等は無く一つの空間のようになっている。
(4)、トイレと廊下の間には、扉等はなく間仕切り壁により内部が見えないようになっている。
事務所は、基本的には扉や窓を締め切って空調機を利用するとすれば、室内で換気が完結することが求められるので第一種機械換気とした。
会議室は、普段は無人で換気量が少なくてよく、使用時は大人数での利用になり換気量が多くなること、他室の換気と利用形態が異なるため他室と絡めず換気量を決められるほうが望ましいので第一種機械換気とした。
トイレは、室用途から清浄度が低く負圧とする必要があるため、第三種機械換気とした。
エントランスと廊下と便所が互いに開放されているため、誤って便所から給気されることが無いように空気の流れを計画する必要があるため、今回はエントランスを第二種機械換気とし、エントランス→廊下→トイレと空気が流れるように計画した。
よって以下のように決定した。