ダクト経路に設置する機器や器具

ダクト経路には必要に応じて様々な器具が取り付く。

風量を調整に必要な、風量制御装置ダンパー測定口
騒音や摩耗等の軽減に必要な、チャンバーボックスキャンバス継手
ダクト内の異物除去に必要な、フィルター水抜きコックなどがあるので以下に説明する。

空調用ダンパーと防災用ダンパー

ダンパーとは、ダクト経路内に可動する板(羽根)を設けて空気の流れを調節する装置をいう。羽根を回転させることでダクト内の断面積を変化させ、空気の流れを抑制または遮断する。配管でいうバルブの役割を果たす。詳細は別記事にまとめた。

参考記事

風量制御装置

風量制御装置とは、セントラル空調による各室または各ゾーンごとの風量を制御装置により制御するシステムのことをいう。
風量制御装置には可変風量ユニット(VAV)と定風量ユニット(CAV)の2種類がある。詳細は別記事にまとめた。

参考記事

風量測定口や温度測定口

測定口とは、ダクト経路上で風量や温度を測定するために設ける穴のこと、測定口に風量計や温度計を取り付ける。

測定口はダクトの直線上で乱流が少ないところに設ける。
(曲管直後の取付はダクト径の5倍程度の直管部を設けて取付ける、曲管直前の取付はダクト径の2倍程度の直管部を設けて取付ける。)

空調機や送風機が各吹出口に風量を配っている場合、各吹出口で風量を測定するだけでは機器全体の風量が測定できないので、風量測定口を根本部分に取り付ける必要がある。
風量測定口の必要箇所は茶本によると、空調機のサプライチャンバーからの分岐ダクト、送風機の吐出ダクト又は吸込ダクト、外気取入れダクト、風量調節ダンパーの上流又は下流となっている。(私自身は、実務上でこの必要箇所の全てに測定口を付けている施工を見たことは無い。)

空調機のダクトの空気入口と空気出口に温度測定口を取り付ける。
空気入口は、空調機に還気や外気が入ってくる口のこと、レタンチャンバーなどにあたる部分をいう。空気出口は、空調機から給気が出ていく口のこと、サプライチャンバーなどにあたる部分をいう。

測定口の取付個数は機械設備工事共通仕様書により、長辺300mm以下は1個300mm超え700mm以下は2個700mm超えは3個と決められている。

参考書籍

チャンバーボックス

チャンバーボックスとは、空気の混合や分岐などで気流が乱れる場所に設置することで空気の乱れを少なくし、ダクトや吹出口に安定した空気を送る為の箱状のダクト装置のこと。詳細は別記事にまとめた。

参考記事

キャンバス継手(たわみ継手)

キャンバス継手とは、送風機や空調機の振動がダクトに伝達することを防ぐため、ダクトと機器を接続する為の継手のこと。布状のたわむ素材で作られている。また、一直線で繋げられないダクト同士を接続する場合などにも使われる。
ダクト材と同様に使用箇所によって材質が異なる。

機械設備工事共通仕様書によると遠心送風機とダクトの接続にはキャンバス継手が必要とされ、材質は、繊維系クロス(不燃性能を有し、片面に漏れ防止用のアルミニウム箔を貼付けたもの)を二重にした構造で、内部にピアノ線を挿入する等の変形抑制措置を施したものとする。

点検口(点検扉)

点検口とは、ダクトに取り付ける扉のこと。
ダクト内部から点検や清掃する入口として取り付けたり、フィルタ―などの内部取付部品がある場合などに取り付ける。

機械設備工事共通仕様書によると、厨房排気ダクトには点検口が必要とされている。

茶本によると、空調機のサプライチャンバー及びレタンチャンバーには、原則として点検口を設ける。
フィルタ―の構成材である「ろ材」交換用の点検口の大きさはW450×H600以上とする必要がある。

点検口のサイズはダクト径より一回り小さければ取り付けられる、必要な用途によってサイズを決める。
目安としては
300×300…頭を入れて内部を確認できる。
450×450…身体をダクト内に入ることができる。
600×600…ゆとりをもってダクト内に入ることができる。

※一般に設備業で点検口といえば、天井や壁につける点検口を指す。この点検口はダンパーやファンなどの操作が必要な器具の直近に取り付ける。
ダクト用の点検口は点検口と区別してダクト点検口と呼ぶことが多い。

ダクト用フィルター

フィルターとは、流体を通すことでその流体の汚染物質を吸着し除去する装置である。フィルターは汚れを吸着し徐々に目詰まりしてくるので定期的な洗浄または交換が必要。詳細は別記事にまとめた。

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水抜きコック(ドレン抜き)

水抜きコックとは、ダクト内に侵入した水(ドレン)を抜く為の栓(コック)のこと。水抜きで抜かれるドレンは、コックやバルブを付けて手動で排出したり、ドレン配管に接続やドレンパン(排水受皿)受けとすることもある。また、ダクトの水抜き位置での操作が難しい場合はメンテナンス可能場所まで水抜きコックから配管とする場合もある。

水抜きコックは、
・雨水の侵入がある外気との接続部分には、下り勾配を設けてその最下部
・浴室排気などの水蒸気を含んだダクトの凹配管(鳥居配管)部分
・エリミネーター(水切装置)下部やグリスフィルター(油抜き装置)下部
などに設ける。

参考予定>>グリス除去装置