防災用ダンパーの種類と使用場所

建築基準法や消防法にて、防災上必要な箇所に火災が発生したときに動作する各種の防災用ダンパーを取り付けるように規定されている。
防災用ダンパーには非常時に開放するものと閉鎖するものがあり、開閉が瞬時に行われるので作業時の挟まれ等のケガに注意する。

防災用ダンパーには、防火ダンパー(FD)防煙ダンパー(SD)排煙用防火ダンパー(HFD)排煙ダンパー(SMD、SRD、SEDなど)ガス圧式防火ダンパー(PFD)避圧ダンパー(RD、REDなど)がある。

※以前は建築基準法及び機械設備標準仕様書等で規定されていない、風量調整機能が付いた防火用ダンパー(FVD、SFVD、PVDなど)が使われていたが、日本防排煙工業会が自主管理制度の対象から除外したため現在はほとんど使わない。

防災用ダンパーに関わる建築の区画

防災用ダンパーに関わる建築の区画について簡単に説明する。建物のどのような場所にどんな区画が必要かの詳細は法規を確認のこと。

防火区画

防災区画とは、建物内の火災の拡大防止を目的として定められる区画のこと。
区画壁は耐火または準耐火構造であり、区画壁を貫通する配管やダクトにも同等の措置が求められる。

ここでいう「同等の措置」とは具体的には、以下に示す3つの工法のどれかで区画貫通の処理を行うか、風道であれば防火ダンパーを設けることをいう。

①区画壁から、配管両側1mと配管穴のすき間を不燃材料とする。(建築基準法施行令第112条の15、129条の2の5)
「準耐火構造の防火区画等を貫通する給水管、配電管その他の管の外径を定める件」で指定された工法とする。(平成12年建設省告示1422号)
③その他各種メーカーにより開発された大臣認定工法とする。

※防火ダンパーとは風道に設ける防火戸のことで、風道が火災時に高温の炎の入口になることを防ぐために設ける必要がある。
よって、ダクト貫通の開口部も防火戸である防火ダンパーを設ける必要がある。

参考予定>>配管の区画貫通処理

延焼のおそれのある部分

延焼のおそれのある部分とは、隣接する建物の火災の延焼防止を目的として定められる部分のこと。
開口部が屋内へ高温の炎の入口になることを防ぐため防火戸あるいはドレンチャー設備を設ける必要がある。
よって、ダクト貫通の開口部も防火戸である防火ダンパーを設ける必要がある。

防火ダンパー(FD)

ダクトに火災が流入した場合に、ストッパーであるヒューズの溶断又は形状記憶合金であるバネの伸縮でダンパーを閉鎖し、延焼を防止する防火用ダンパーのこと。閉鎖したダンパーの復帰は、ヒューズを取り換えて手動復帰する。
通常のヒューズの溶断温度は72℃であるが、火気使用室など排気風が高温になる場合は誤閉鎖を防ぐため120℃を利用する。

その他に熱感知器連動操作の防火ダンパーもある。ヒューズの固着などが問題になる室や自動復帰としたい場合などに用いられる。

防火ダンパーは建築物の防火区画か延焼の恐れがある部分を貫通するダクトに設ける。なお、延焼の恐れがある部分がベントキャップ等の防火覆いがある場合で管径100φ以下の場合は防火ダンパーは不要。
FDと防火区画の間のダクトはテンロクダクト(板厚1.6mmのダクトのこと。鉄板の規格に1.5mmはない。)とする。

防火ダンパーの法令

昭和48年建設省告示2565号「防火区画を貫通する風道に設ける防火設備構造方法を定める件」より
風道が防火区画を貫通する場合、防火ダンパーとすること

平成12年建設省告示1376号「防火区画を貫通する風道に防火設備を設ける方法を定める件」より
当該防火設備と当該防火区画との間の風道は、厚さ1.5mm以上の鉄板でつくり、又は鉄網モルタル塗その他の不燃材料で被覆すること

平成12年建設省告示第1360号「防火設備の構造方法を定める件」
建築基準法第2条の9の2のロより
鉄製で鉄板の厚さ0.8mm以上~1.5mm未満のものは
その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備を有すること

平成12年建設省告示第1369号「特定防火設備の構造方法を定める件より
開口面積が100㎝2以内の換気孔に設ける鉄板、モルタル板その他これらに類する材料で造られた防火覆い又は地面からの高さが1m以下の換気孔に設ける網目2mm以下の金網とすること

排煙用防火ダンパー(HFD)

排煙ダクトに高温の火炎が流入した場合、ストッパーであるヒューズの溶断で閉鎖し、延焼を防止する防火用ダンパーのこと。閉鎖したダンパーの復帰は、ヒューズを取り換えて手動復帰する。
通常のヒューズの溶断温度は280℃である。

排煙用防火ダンパーは、建物の防火区画か延焼の恐れがある部分を貫通するダクトに設ける。

日本建築学会「建築物の煙制御計画指針」より
・排煙主ダクト(煙排出口を含む)に排煙用防火ダンパーを設置してはならない。代替措置として耐火仕様ダクトとする。
・HFD以降の横引きダクトは断熱措置ダクトとする。

断熱措置ダクト…ダクトにロックウール25mmまたはグラスウール25mm(密度24kg/m3以上)を巻くこと。
耐火仕様ダクト…板厚1.5mm以上の鉄板ダクトにロックウール25mmを巻くこと。
(上記の指針ではロックウール25mmなら密度120kg/m3以上、ロックウール50mmなら密度80kg/m3以上を推奨している。)

補足

排煙ダクトは火災時の煙を排気するために設ける設備である。防火ダンパーを設置してしまうと、火災時にダクト内が閉鎖され煙の排気が妨げられてしまうため、防火ダンパーを取り付けたくはない。よって排煙主ダクトには防火ダンパーの代替措置で耐火仕様としている。

排煙用防火ダンパーは、排煙ダクトの枝ダクト等から流入した高温の排気により延焼することを避けるため、やむなく使用されている。排煙用の防火ダンパーが通常の防火ダンパーに比べてヒューズの溶断温度が高いのは、火災初期には排煙ダクトによって火災煙を排気し、排気が高温になったら、排煙ダクトによる排気を遮断するためである。

排煙用防火ダンパーの法令

消防法施行規則第30条の3のホの二より
消火活動拠点に設ける排煙口又は給気口に接続する風道には、自動閉鎖装置を設けたダンパーを設置しないこと

防煙ダンパー(SD)

煙感知器連動により電気信号で閉鎖する機能の付いたダンパーのこと。閉鎖したダンパーの復帰は、手動復帰式と自動(遠隔)復帰式がある。

防火区画の内で異種用途区画と竪穴区画を貫通するダクト、つまり2以上の階にわたるダクト等には、火災により煙が発生した場合に自動的に閉鎖する機能のある防煙ダンパーを設ける必要がある。
(緩和措置等があるので法規を要確認のこと。)

区画壁の直近の区画に煙感知器が設置されていない場合は、直近の区画で火災が起きた際にSD(防煙ダンパー)では対応できないため、SFD(防煙ダンパーに防火ダンパー機能をつけたもの)を取り付ける必要がある。

煙は上階に広がるので、最上階に設けるダンパーなどは避難に影響を及ぼしにくい区画であるのでFD(防火ダンパー)とすることができる。

建物の防煙区画とは関係がない。防煙区画に取り付けるダンパーではないので注意する。

防煙ダンパーの法令

※法令でいう「煙感知器連動の防火ダンパー」を防煙ダンパー(SD)と呼び、防火ダンパー(FD)と区別している。

建築基準法施行令第112条の10
昭和48年建設省告示第2563号「防火区画に用いる防火設備等の構造方法を定める件」より

主要構造部を準耐火構造とした建築物等(詳細は法規確認)の竪穴部分(ダクトスペース等部分その他これらに類する部分)は防火設備で区画しなければならない
その防火設備の構造は、火災により煙が発生した場合に、自動的に閉鎖又は作動をするものであること

※建築基準法の最近の改正(平成30年改正)によって第112条は項目番号に変更があったので注意。上記の告示に関連する部分では、旧第9項→新第10項、旧第13項→新第18項と変更されている。

昭和56年建設省住指発第165号「火災により煙が発生した場合又は火災により温度が急激に上昇した場合に自動的に閉鎖するダンパーの基準の制定について」より

最上階に設けるダンパーには煙感知器連動とする必要がないものがあること
火災時に送風機が停止しない構造のものにあっては、煙の下方への伝播も考えられることから、空調のシステムを総合的に検討する必要があること
同一系統の風道において換気口等が一の階にのみ設けられている場合にあっては、必ずしも煙感知器連動のダンパーとする必要がないものであること

排煙ダンパー(SMD、SRD、SED)

熱、煙感知器連動の電気信号又は手動開放により開放する排煙口用のダンパーのこと。この開放の電気信号で排煙ファンが動き、排気が始まる 。
閉鎖したダンパーの復帰は、手動復帰式と自動(遠隔)復帰式がある。

排煙ダンパーの法令

建築基準法施行令第126条の3より
排煙口には、手動開放装置若しくは煙感知器と連動する自動開放装置又は遠隔操作方式による開放装置により開放された場合を除き閉鎖状態を保持し、かつ、開放時に排煙に伴い生ずる気流により閉鎖されるおそれのない構造の戸その他これに類するものを設けること

ガス圧式防火ダンパー(PFD)

自動消火設備の放出する消火ガスの圧力でピストンレリーザーを押し込み閉鎖するダンパーのこと。
閉鎖したダンパーの復帰は、ガス圧開放によりピストンリレーザーで自動(遠隔)復帰する。

消火ガス(ハロゲンや二酸化炭素など不活性ガス)による消火は、酸素濃度を下げる窒息作用によるもので、消火ガスによる消火の際は給気を遮断する必要があるため、ガス圧式ダンパーを設ける。(ハロゲンには窒息作用のほか冷却作用もある。)

ガス圧式防火ダンパーにはピストンレリーザーがなく消火ガスの作動により押し込みによる閉鎖だけする手動復帰式のものもある。これはピストンリレーザー式と異なり消火ガスの放出区画外に取り付けなくてはならない。各メーカーごとPDや別の名称になっていたりするので注意。

ガス圧式ダンパーには防火ダンパー機能がない機種もあるので、この場合は必要であれば防火ダンパーを別に設置する。

ガス圧式防火ダンパーの法令

消防法施行規則第19条の4より
二酸化炭素を放射するものにあっては床面からの高さが階高の3分の2以下の位置にある開口部で、放射した消火剤の流失により消火効果を減ずるおそれのあるもの又は保安上の危険があるものには、消火剤放射前に閉鎖できる自動閉鎖装置を設けること
窒素、IG-55又はIG-541を放射するものにあっては、消火剤放射前に閉鎖できる自動閉鎖装置を設けること

消火ガスによる消火設備が設置されている室

以下のような通常の水や強化液による消火では危険が伴う室は、消火ガスによる消火設備が設置が義務付けられている。

・駐車場などの、油火災(B火災)で水を媒介し炎が拡大する可能性のある室 
・電気室などの、電気火災(C火災)で水を媒介し感電の危険性のある室    

また、設置義務はなくても美術館などの、通常の水や強化液による消火によって室内器具等の損傷することを避けたい室などにも用いられる。

設置義務のある室は以下法規によって決められている。

・消防法施行令の第13条
・危険物の規制に関する政令の第20条

避圧ダンパー(RD、REDなど)

消火ガス噴出時に開放され圧力を逃がす避圧口用ダンパーのこと。瞬時の爆発的な圧力変動に耐えられるチャッキダンパーのような構造。
チャッキダンパーについては以下を参照。

参考記事

消火ガスの中でも新ガス(窒素・IG-55・IG-541)は噴出時に室内圧が急激に上昇するので壁や窓を破壊する恐れがあるため、避圧ダンパーの設置が義務付けられている。防火ダンパーを取り付けると火災時にダクト内が閉鎖され圧力を逃がせないので、代替措置として避圧ダクトは耐火仕様ダクトとする。

避圧ダクトを単独系統とせず、排気ダクトに兼用とする場合、排気用ファンの吸引により避圧ダンパーが開放しないように検討する必要がある。

被圧口の開口面積は、日本消防設備安全センター「避圧に関する検討の手引き」を参照に求める。

避圧ダンパーの法令

消防法施行規則第19条5の22の2より
全域放出方式の不活性ガス消火設備(窒素、IG-55又はIG-541を放射するものに限る)を設置した防護区画には、当該防護区画内の圧力上昇を防止するための措置を講じること