ダクトからの騒音

近年、騒音に対する社会全体での意識の高まりによって、騒音対策がより重要視されるようになってきている。設備関連では、主にファンやポンプなどの加圧装置類やそれに付随するダクトからの騒音への対策を求められる。

今記事では、音の基礎と設備関連で問題になる騒音の種類についてを記載した上で、具体的な騒音対策とその計算方法について記載した。

音の基礎

音とは、空気の振動によって起きる圧力変化が聴覚により識別されたものである。空気の振動の波動を音波と言い、音波の形状によって発生する音の大きさや高さ、音色が異なる。音の大きさは音波における波の幅の大きさで、音の高さは音波における波の数量によって決定される。

周波数と音の関係

音の伝達

音は空気によって伝導され、球面上に広がっていく。球面上に広がる音は、音の発生源から距離が離れるほど徐々に小さくなっていく。これを距離減衰という。

音の放射が限りなく小さな1点から、全方位に同じ強さで伝わっていく音源のことを点音源という。また等しい音を持つ点音源が、線状に隙間なく並んでいる状態を線音源、平面状に隙間なく並んでいる状態を面音源という。

音の高さ

音の高さは、時間当たりの波の数である周波数によって決定される。周波数の国際単位はヘルツ(Hz)である。高周波(=周波数が大きい)は高音に聞こえ、低周波は(=周波数が小さい)は低音に聞こえる。なお、消音装置によって音圧レベルを小さくしようとする場合、一般に高周波の音への消音効果は大きいが低周波の音は消音作用が働きにくいものが多いので、消音によっての低周波音の対策は困難である。

人間の耳が空気の振動を音として認識できる周波数は一部であり、この範囲を可聴域という。可聴域は、個人差はあるが20~20,000Hz程度までであり、加齢により高周波は聞こえにくくなっていってしまう。

音の大きさ

音の大きさは、空気の圧力変動の大きさであるので音圧とも言われる。音圧の国際単位はパスカル(Pa)であるが、音をパスカル表示すると膨大な数値となってしまう。そのため、常用対数に置き換える対数表示の音圧レベル表示とするのが一般的である。音圧レベルの国際単位はデシベル(dB)である。

音の大きさの基礎計算式

音の大きさの計算は、音の合成距離減衰の2つの式を基本に行う。ただし、この基本となる音計算式は「音は点音源であり、音の伝搬する空間上に壁や床などの障害物は無く、空気の密度が一定である。」という理想状態での式であり、実際の音と音場(=音波の存在している空間)はこのような理想状態となることはあり得ないため、この2つの式に加えて様々な補正式や音の加減式を利用して、より実状に近い音の大きさを予想している。

音の合成式
合成音圧レベルL[dB]=10×log10(10L1/10+10L2/10・・・10Ln/10)
 L1:音源1の音圧レベル[dB]
 L2:音源2の音圧レベル[dB]
   ・・・
 Ln:音源nの音圧レベル[dB]

音の距離減衰式
地点Aから地点Bまでの距離減衰N[dB]=20×log1010(B/A)
 A:音源から地点Aまでの距離[m]
 B:音源から地点Bまでの距離[m]

例題
 
問題

点音源Aと点音源Bが置かれた音場がある。から150[dB]の音を発生すると、53[dB]の音を発生する点音源Bがある以下の図のような音場がある。
点音源を単独で配置した時の音圧レベルは、各点音源から1m離れたところで測定を行い、点音源Aが50[dB]、点音源Bが53[dB]である。
この音場の点Aの測定点から4m、点Bの測定点から5m離れた地点Cで測定される音圧レベルはいくつになるかを求める。

音の合成と距離減衰の例題
解答

点Aの測定点から地点Cまでの距離減衰[dB]=20×log1010((1+4)/1)=14[dB]より
地点Cでの点音源Aからの音圧レベルL1[dB]=50-14=36[dB]

点Bの測定点から地点Cまでの距離減衰[dB]=20×log1010((1+5)/1)=15.6[dB]より
地点Cでの点音源Bからの音圧レベルL2[dB]=53-15.6=37.4[dB]

よって、地点Cでの合成音圧レベル[dB]=10×log10(10L1/10+10L2/10)=10×log10(1036/10+1037.4/10)=39.8[dB]

補足

点音源の音は球面上に拡散していくため、音源から求めると理論上は以下の式に基づいた減衰が発生する。
音源での音圧レベルLW=測定点での音圧レベルLP+10log(放射表面積S[m2])

自由音場(Q=1)に点音源(S=4πr2)がある時、LP=LW-10log(4πr2/1)=LW-10log(r2)-10log(4π)≒ LW-20log(r)-11
半自由音場(Q=2)に点音源(S=4πr2)がある時、LP=LW-10log(4πr2/2)=LW-10log(r2)-10log(2π)≒ LW-20log(r)-8
1/4自由音場(Q=4)に点音源(S=4πr2)がある時、LP=LW-10log(4πr2/4)=LW-10log(r2)-10log(π)≒ LW-20log(r)-5

ファンやダクトの騒音については音源を近似的に点音源とみているに過ぎず、音源で音を測定することは不可能であるので、音源から一定の距離(1m程度)での音の大きさを測定して、それを基準値として計算する。そのため、この計算式はあまり用いられない。

騒音対策

騒音の改善策は、音の発生源を無くすことが最も効果的である。例えば「装置の振動による発生音」であれば、防振や制振を行い振動を減らすことで発生音を小さく出来る。例えば「ダクト吹出口での金切音」であればダクト断面積を大きくすることで金切音を小さく出来る。

しかし、装置そのものの発生音など発生源で対策することが難しい音の場合は別の対策をする必要がある。
この場合は、音の発生源を遮音材吸音材で囲うことで騒音として人間に届くのを防ぐことになる。

音の発生源をなにかしらで囲うとその囲い材にぶつかった音(入射音)は、一部が反射し、一部が透過し、一部が囲い材内に吸収される。
この囲い材を音の反射率の高い材料(=遮音材)や吸収率の高い材料(=吸音材)にすることで防音を行うものである。

入射音と反射音、吸音と透過音

遮音材による防音

遮音材とは、外部へ音を透過させないように跳ね返し遮音する材料のことで、コンクリート鉄板などの面密度や質量のある物ほど遮音性能が高くなる。透過損失が大きい材料は遮音材に向いている。透過損失とは、材料の遮音の程度を数量的に表すもので式にすると以下のようになる。

透過損失TL[dB]=入射音の音圧レベル[dB]-透過音の音圧レベル[dB]
       =10log(入射音エネルギーI/透過音エネルギーT)
       =10log(1/透過率 t)

遮音材効果

吸音材による防音

吸音材とは、振動を熱エネルギーに変換させて音を減衰させる素材のことで、グラスウール発泡ウレタンなどの熱エネルギーが吸収される空気穴が多くある物ほど吸音性能が高くなる。吸音率が大きい材料は吸音材に向いている。吸音率とは、吸収音と透過音のエネルギーの和と入射音のエネルギーとの比を表すもので式にすると以下のようになる。ただし、吸音率が高いといっても吸収音のみの比率ではなく透過音も含まれているので注意が必要になる。

吸音率 a=(吸収音エネルギーA+透過音エネルギーT)/(入射エネルギーI)
    =1-反射率 r

吸音材効果

ダクト騒音の種類と対策

発生騒音の種類

ファンやダクトから発生する騒音の種類には以下のようなものがある。これらの騒音源の1つ1つを近似的に点音源とみて、各音圧レベルを合成することで発生騒音を求めることになる。

補足
  • 開口端騒音
  • ファンやダクトからの透過音
  • 制気口等からの金切音(再発生音)
ダクトから発生する騒音
参考サイト
補足

送風機(ファン)からの発生音

送風機(ファン)からの騒音は、透過音とダクトを通して開口端まで伝搬した反射音に分けられる。これらを計算によって分配の比率を求めることは難しいので、基本的には各送風機メーカーから提示されている測定値を算定根拠として計算を行うことが望ましい。
送風機本体の騒音自体は、以下の式から求められる。

送風機騒音[dB]=比騒音K+10log{風量Q[m3/s]×(全圧P/重力加速度g)2}

比騒音の値

機種 比騒音K
マイルドファン 30~35
ターボファン 35~40
プレートファン 40~45
シロッコファン 40~45
軸流ファン 50~55

開口端騒音

開口端騒音は、吹出口や吸込口などの末端の開口部から放射される音のことをいう。開口端騒音を計算により実情に近い値を求めることは大変困難で、各消音メーカーや参考文献によって様々な式が提唱されている。式によって補正等は様々であるが、以下のような点について考慮しなければならず計算が困難になる。

  • 送風機発生音や各装置での再発生音の一部がダクト内を反射し伝搬しており、その反射音はダクト経路の形状によって反射音の減衰量がかわること。
  • 制気口で発生する金切音も開口端騒音として聞こえるため、それによる影響値も検討する必要があること。
  • 風によって音波自体が運ばれてしまうため、吹出口や吸込口を一様に評価することが難しいこと。
  • 開口端形状や開口端周囲の各形状が、音波の反射に影響を与えること。

私は開口端騒音を求める計算式としてダクト内を室内と見立てて吸音率と距離減衰の式を利用している。ダクトの分岐の際は分配比係数を利用しエネルギーの分岐を求め、エルボなどの直管以外の場合は減衰量を見込んで計算するようにしている。金切音は下項目表示の式より別途加算している。(ただし、これらの式も上記の問題点について考慮している計算式というわけではない。)

開口端騒音LP=L0+Kb+10log(Q/4πr2+4/R)-TL-LE+LW
 L0:送風機の音圧レベル[dB]
 Kb:分配比係数[dB](分岐前風量Qb、分岐後風量Qaとすると、分配比係数K≒-10log(Qa/Qb))
 Q :指向係数(Q=1)
 r :音源からの距離[m]
 R :室定数(総面積S、平均吸音率αとすると、室定数R=Sα/(1-α) ※平均吸音率α=各種材料の吸音率×面積の合計値)
 TL :ファンやダクトからの透過損失[dB]
 LE:エルボ等の抵抗での損失[dB]
 LW:開口端での金切音(再発生音)[dB]

ファンやダクトからの透過音

透過音は、ファンのケーシング材やダクト材で透過した音が外部に放射されることをいう。これらの材質は鉄鋼系で頑丈な遮音材としての能力が高いものが多いため、透過音は開口端騒音と比較し小さくなる傾向にある。ファンやダクトからの透過音は、各材質の透過損失値から求めるのが一般的である。

制気口等からの金切音(再発生音)

ダクト経路上の各種装置によって断面積が絞られ風速が上がることで、金切音(再発生音)が発生する。金切音は、ダンパーや制気口、ダクトの分岐部などで発生する。これらの金切音は、送風機発生音に比べてはるかに小さいため送風機直近の開口端などでは考慮されないことが多いが、送風機から離れた室内での静寂性を確保するためにはダクト透過音とともに重要なファクターとなりうる。金切音(再発生音)はASHRAE-Handbook(1987)より以下の式で求められる。

ダンパーの発生音

LW=K+10log10f+50log10U+10log10S+10log10D−18
 K:ストロハル数より求められる値[dB]
 f:オクターブバンド中心周波数[Hz]
 U:風速係数[m/s]
 S:ダクト断面積[m2]
 D:ダクトH寸法[m]

ダクト分岐部の発生音

LW=K+10log10f+50log10U+10log10S+10log10D+∆r+∆T
 K :ストロハル数より求められる値[dB]
   (メインダクトの風速/分岐ダクトの風速とストロハル数からのグラフで求める。)
 f :オクターブバンド中心周波数[Hz]
 U :分岐ダクト内風速[m/s]
 S :分岐ダクト断面積[m2]
 D :分岐ダクト直径[m]
 Δr : 内 R 寸法の補正値[dB]
 ΔT : 乱流のときの補正値[dB]

吹出口発生音

LW =10log10A+alog10V+b+c
 A:吹き出し口断面積または首面積[m2]
 V:吹き出し口面風速または首風速[m/s]
 a、b、c : 次表により求める

種類 C a b
63 125 250 500 1000 2000 4000 8000
吹出口 ノズル型 -2 -7 -7 -11 -16 -18 -19 -22 52.5 9.5
パンカールーバー -3 -7 -9 -14 -14 -17 -22 -19 33.5 38.5
格子型 -6 -5 -6 -9 -11 -18 -26 -31 50 30
スロット -8 -7 -6 -6 -9 -14 -24 -27 40 54
丸型ディフューザ -2 -5 -8 -12 -16 -23 -29 -37 50 35
角型ディフューザ -3 -6 -7 -8 -8 -11 -18 -28 50 35
パン型 -6 -5 -6 -9 -11 -16 -24 -23 50 42
輪型 0 -5 -4 -7 -9 -14 -24 -40 50 33
BL-S -9 -6 -4 -10 -13 -19 -23 -26 42 32.5
BL-D -10 -7 -5 -7 -12 -18 -23 -26 32 38
吸込口 グリル型 -8 -12 -10 -6 -6 -14 -23 -26 50 38
パン型 -9 -7 -10 -10 -12 -16 -29 -38 60 27
マッシュルーム -3 -9 -11 -14 -11 -10 -18 -30 60 33.5
格子型 -6 -5 -6 -9 -11 -18 -26 -31 50 30
輪型 0 -5 -4 -7 -9 -14 -24 -40 50 33
金網 -10 -10 -11 -9 -5 -5 -12 -19 45 17
参考記事
補足

暗騒音の補正

騒音を測定する際、暗騒音が影響を与える場合がある。暗騒音とは、対象とする騒音ではない周辺での発生騒音のことを指す。測定騒音は、対象騒音と暗騒音の合成値が出てしまうので、なるべく暗騒音となりうる要因を無くしてから測定する必要がある。なお、暗騒音レベルが測定騒音レベルと10dB以上離れている場合は暗騒音による影響は無視できる。

暗騒音による影響値を求めるためには、暗騒音の音圧レベルを把握する必要があり、対象騒音源の装置を停止し音場の音圧レベルを測定する必要がある。JISZ8737-1(2000)により、以下の式によって暗騒音補正を行う。測定騒音と暗騒音レベルの差は少なくとも6dB以上である必要があり、それより差が小さいと補正による値の正確性が疑問視される。

暗騒音に対する補正値K1=-10log10(1-10-ΔL/10)
 ΔL:対象音圧レベル(測定音圧レベルと暗騒音レベルとの差)[dB]

騒音に関わる法律や規制

騒音に関わる規制としては、国で指定された騒音規制法や環境基本法のほか、各都道府県知事や市町村長の定めた環境基準を設けている場合もあるので各地方の規定を確認する必要がある。

なお、以下に示す規定などは、航空騒音や鉄道騒音や建設作業騒音には適用されないため、これらの騒音の規定については別途確認が必要になる。

また、騒音規制法で定める音圧レベルはA特性での音圧レベルであるので、測定した音はA特性に補正する必要がある。

騒音と聴覚特性

そもそも騒音とは、人間の聴覚で感じることが出来る不快な音のことを言う。そのため可聴域を外れるような音は騒音に含まれない。さらに可聴域内であっても各周波数に対して聞こえやすさが異なり、低周波は聞こえにくいといった特徴がある。これらを考慮して周波数の重み付けを行ったものが特性値であり、良く利用されるものはA特性とC特性がある。

特性 オクターブバンドの中心周波数[Hz]
63 125 250 500 1000 2000 4000 8000
A -26.2 -16.1 -8.6 -3.2 0 1.2 1.0 -1.1
C -0.8 -0.2 0 0 0 -0.2 -0.8 -3.0

A特性

人間の聴覚特性を考慮し周波数の重みづけを行った特性であり、騒音値の大きさを評価する際に最も利用される。1000Hz周辺での聴覚感度が最も高く、そこから離れた周波数帯域の感度は低くなっていくので、それに合わせた補正になる。

C特性

人間の聴覚特性を考慮し、周波数の重みづけを行った特性であり、A特性より比較的FLAT(Z)特性に近い特性。音が大きい場合には低周波数帯域でも聴覚感度が上がることに合わせた補正になるが、現在はA特性の方が主に用いられる。

Z特性(FLAT特性)

周波数の重みづけ補正を行っていない平坦な特性。音圧レベルの絶対測定の数値であり、測定値に補正を行わない場合はこのZ特性が計測される。なお、騒音計はA特性やC特性に補正した値を表示できるものが多い。

参考予定>>計算書

室内騒音の基準

室内騒音の基準は、労働省告示第46号(作業環境測定基準、昭和51年)によって規定されている。

作業所は作業者に健康被害が発生しないようにA測定平均値とB測定が共に85dB未満とすることで、管理区分Iに収まるように作業所の環境を維持することが求められている。

A測定は「作業場を縦、横6m以下の等間隔で引いた交点を測定点とし、床上1.2mから 1.5mの間で測定した値」、B測定は「発生源に近接する場所において作業が行われる場合、その位置において測定した値」をいう。

なお、測定騒音が85dB以上となるような著しい騒音の発生する作業所では、場所を標識により明示し、作業者に耳栓などの保護具を使用するほか、作業者に特殊健康診断や騒音環境への理解を深めるための労働衛生教育が必要になる。

B測定
85dB(A)未満 85dB(A)以上90dB(A)未満 90dB(A)以上
A測定平均値 85dB(A)未満 第Ⅰ管理区分 第Ⅱ管理区分 第Ⅲ管理区分
85dB(A)以上90dB(A)未満 第Ⅱ管理区分 第Ⅱ管理区分 第Ⅲ管理区分
90dB(A)以上 第Ⅲ管理区分 第Ⅲ管理区分 第Ⅲ管理区分
参考サイト
補足

NC値

室内騒音の評価にはNC値がよく利用される。NC値は、1957年にアメリカの音響学者L.L.Beranek氏が提案した室の静けさを表す指標である。測定点においての各周波数帯域の値を読みとり、NC曲線にあてはめて全ての周波数域で曲線を下回る数値がその部屋のNC値となる。NC値では以下のように会話のしやすさと室用途によっての推奨値を示している。

騒音の目安値

dB(A) 20 25 30 35 40 45 50 55 60
NC 10〜15 15〜20 20〜25 25〜30 30〜35 35〜40 40〜45 45〜50 50〜55
うるささ 無音感 ーーー 非常に静か ーーー 特に気にならない ーーー 騒音を感じる ーーー 騒音を無視できない
会話・電話への影響   ーーー 5m離れて
ささやき声
が聞こえる
ーーー 10m離れて
会議可能
電話は支障なし
ーーー 普通会話
(3m以内)
電話は可能
ーーー 大声会話
(3m)
電話やや困難

空気調和衛生工学便覧 第14版

室内許容騒音

室名 NC値
平均
庁舎 大臣室、次官室 25 30 35
会議室(高級)、応接室 25 30 35
高級室 30 35 40
会議室(一般) 30 35 40
事務室、製図室 35 40 45
ホール、廊下 35 40 45
資料室、計算室 40 45 50
事務所 重役室、会議室(高級) 25 30 35
高級室、応接室 30 35 40
事務室 35 40 45
公共建物 図書館、裁判所、音楽室、銀行、郵便局 35 40
病院 病室、手術室、診療室 30 40
待合・廊下・検査室 40 45
ホール、ロビー 45 50
学校 教室、図書室 30 35 40
研究室 35 40 45
ホール、廊下 35 45 50
劇場 録音スタジオ、コンサートホール 20 25
舞台劇場 25 30
ロビー 30 35 40
住宅 個人住宅(邸宅) 0 25 30
個人住宅(都市) 25 30 35
アパート 30 35 40
食堂 レストラン 35 40 45
食堂 40 45 50
体育館 大演技場(アリーナ) 30 45
体育館 35 40 45

建築設備設計基準 平成30年版

屋外騒音の基準

屋外騒音の基準は、環境庁告示第64号(環境基本法、平成10年)によって規定されている。それに加えて各地域に規定がある場合があるので確認する。

環境基本法とは、騒音などの環境上の条件について生活環境を保全し、人の健康の保護に資する上で維持されることが望ましい基準を定めた法律である。

屋外騒音は、事業所の敷地境界上の地点で測定した騒音値が以下の値以下となるように抑える必要がある。地域区分と時間帯によって音の大きさの基準値が異なる。住宅地域では昼間の騒音は55dB以下、夜間の騒音は45dB以下とされている。(例外として、車線を有する道路に面する地域や幹線交通を担う道路に近接する空間については緩和措置があるので要確認。)

地域の類型 地域の区分 基準値
昼間(AM6時~PM10時) 昼間(PM10時~AM6時)
AA 療養施設、社会福祉施設等が集合して設置される地域など特に静穏を要する地域   50dB以下 40dB以下
A 専ら住居の用に供される地域 第1種低層住居専用地域第2種低層住居専用地域第1種中高層住居専用地域第2種中高層住居専用地域 一般地域 55dB以下 45dB以下
2車線以上の車線を有する道路に面
する地域
60dB以下 55dB以下
B 主として住居の用に供される地域 第1種住居地域第2種住居地域準住居地域用途地域の定めのない地域 一般地域 55dB以下 45dB以下
2車線以上の車線を有する道路に面
する地域
65dB以下 60dB以下
C 相当数の住居と併せて、商業、工業等の用に供される地域 近隣商業地域商業地域準工業地域工業地域 一般地域 60dB以下 50dB以下
車線を有する道路に面する地域 65dB以下 60dB以下

特定施設

騒音規制法では著しい騒音を発生する施設を特定施設として規定している。
そのうち設備関連では、原動機の定格出力が7.5kw以上の空気圧縮機及び送風機がそれに定められている。特定施設を設置する者は規制基準の遵守及び設置や変更の際には事前の届出が必要になる。

騒音規制法は、騒音による健康被害を防止するために定められた法律である。設備工事に関わる取り決めも存在するなど、幅広く騒音での作業員や建物周囲の住民への健康被害を防止するための規定がなされている。