冷温水配管の方式と空調機との接続

水冷式の空調機(冷温水によって熱交換を行う空調機)は、冷温水配管の配管が何本接続されているか(2管式・3管式・4管式)によって冷暖の切替方法が異なる。また、水量や水圧を均一にするために冷温水配管の接続方法を工夫する場合もある。これらについて以下に説明する。

冷暖房の切替方式

2管式

往き配管と還り配管が1組の場合を2管式という。2管式は、夏期は冷水配管として、冬期は温水配管として利用する冷温水配管となるため、冷房と暖房を切り替えて利用する冷暖房切替運転方式になる。

配管本数が少ない分、他の方式と比較し安価で省スペースである。基本的には冷暖房切替運転となるが、日本ピーマック株式会社からは2管式で冷暖同時運転の空調機も販売されている。

 

2管式の冷房運転

冷房運転時

2管式の暖房運転

暖房運転時

3管式

往き配管が2本と還り配管が1本の場合を3管式という。3管式は、1本を冷水配管として、もう1本は温水配管として利用し、冷温水の還り配管を兼用する方式で、冷房と暖房を同時に利用することが出来る冷暖房同時運転方式である。

3管式は、冷熱源と温熱源を接続し還り配管の水量を制御する必要があること、還り配管の熱損失が大きくなること等の理由で用いられることは少ない。

3管式の冷房運転

冷房運転時

3管式の暖房運転

一部を暖房運転とした場合

4管式

往き配管と還り配管が2組の場合を4管式という。4管式は、1組を冷水配管として、もう1組は温水配管として利用するため、冷房と暖房を同時に利用することが出来る冷暖房同時運転方式になる。

配管本数が多く、イニシャルコスト(=設置費)もランニングコスト(=運転費)も嵩むが、冷暖房を同時に利用できるため各部屋ごとに別々の空調運転が出来ることが最大のメリットである。

4管式の冷房運転

冷房運転時

4管式の暖房運転

一部を暖房運転とした場合

水量や水圧を均一にするための方式

ダイレクトリターン方式

ダイレクトリターン方式とは、往き配管と還り配管の計2本をセットで配管し、機器の直近で配管を取り出して接続する方式をいう。後述のリバースリターン方式と区別するためにこのように呼ばれているが、いわゆる通常の接続方式である。

この方式であると、熱源機から遠い末端の機器であるほど水量や水圧の確保が難しくなり、抵抗の少ない熱源から近い機器ばかり水量や水圧がでてしまう。

ダイレクトリターン方式

リバースリターン方式

リバースリターン方式とは、往き配管と還り配管の合計長さがどの機器からも同程度になるように配管された方式をいう。ダイレクトリターン方式の問題を改善するために取られる方式である。

この方式では、熱源機から遠い末端の機器で還り配管がUターンするため、往き配管と還り配管2本の計3本をセットで配管する。よってダイレクトリターン方式に比べて配管スペースも必要で配管長も長くなってしまうが、冷温水配管の方式としては理想的とされている。なお、モジュールチラーなどの連結して利用するチラーでは、チラー側で必ずリバースリターン方式とする必要がある場合も多いので注意する。

リバースリターン方式